「相続トラブル」と聞くと、相続人が複数人いた場合に遺産の分割方法をめぐって修羅場に……などとイメージしがちですが、相続人が「たった1人」でも起こる可能性があると、司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏はいいます。今回は事例をもとに、54歳のAさんがトラブルに陥った原因と相続発生時に行うべきことについてみていきましょう。
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相続手続きは「自分でやる」or「専門家に依頼する」どっちがベスト?
相続手続きは、相続登記を含め、司法書士を代理人として依頼することもできますが、Aさんのようにご自身で行うこともできます。
以下のように手続きが難航しそうな場合は、司法書士に依頼したほうがスムーズでしょう。
・相続人が増える可能性がある場合
・相続人のなかに行方不明者がいる場合
・相続人のなかに未成年や認知症などの「行為制限能力者」がいる場合
・被相続人よりもさらに遡った先祖の名義のままになっている不動産がある場合
・不動産が遠方にある場合
また、たとえ上記に当てはまらないような場合であっても、相続登記を行ううえで問題が生じた場合や、苦心に感じることがあれば、速やかに司法書士に依頼することをおすすめします。
司法書士への依頼はコストがかかるが正確
ご自身で相続手続きを行う場合のメリットは、コストがかからないことです。登記にかかる登録免許税や各種書類発行にかかる必要手数料のみで済みます。
司法書士に依頼する場合は、その報酬を支払わなければなりません。報酬の相場は、司法書士事務所や案件の難易度によって異なりますが、10万円~100万円と幅があります。
その一方で、司法書士に依頼すれば正確な相続調査と速やかな手続きが可能です。
実際、Aさんのようにご自身で手続きしてみたものの、トラブルが発覚したために最終的に司法書士に依頼するというケースも少なくありません。
相続手続きには期限があります。したがって、司法書士から相談者それぞれの状況に合わせた的確なアドバイスを受けつつ、速やかに手続きを済ませることをおすすめします。
加陽 麻里布
司法書士法人永田町事務所
代表司法書士