節税対策が子どもの自立を妨げることも

不動産購入

子どもが住宅を買うときに、親と共同購入することで節税するという方法があります。これは、「やってはいけない」とまではいえず、使い方次第だと思います。

親が子どものために不動産を購入するときは、あとで説明するように、住宅資金贈与として1,000万円までが非課税になりますが、それを超えた分には贈与税がかかってしまいます。そこで、その分を共有名義にして相続で解決するというわけです。この方法ならば、親の支出額が親の持分になるだけですから贈与にはあたりません。親が亡くなったときには、親の持分を子どもが相続すればよいのです。

とくに建物では相続税の節税効果が高くなります。建物を1億円で建てた場合でも、評価額は2,000〜3,000万円になります。つまり、1億円を預貯金のままで残すと、まるまる1億円に対する相続税がかかってしまうのですが、その1億円を使って建物を購入すれば、2,000〜3,000万円相当に対する相続税で済むわけです。

この方法は私たちもよく提案しますが、親子の「相続格差」の視点から1つだけ注意しなくてはなりません。それは、親がお金を出すことで、子どもの自立を妨げる恐れがあるという点です。やはり、この方法も名義預金と同じく、子どもの年齢や性格を考慮に入れる必要があるでしょう。

タワマン節税

不動産の相続税評価額と購入価額(時価)の差を利用して、相続税を節税しようというのが、いわゆる「タワマン節税」です。現金や預貯金のままで相続するよりも、不動産を購入して相続したほうが評価額が低くなるので、相続税が安くなります。タワーマンションのような高級物件ならば、その差額も大きくなるので節税効果も大きくなり、金融機関が資産家にすすめている方法でもあります。

しかし、2022年4月に最高裁判所で興味深い判決がありました。90歳の方が金融機関から10億円以上の借金をして東京近郊に高級不動産を2軒購入し、一方を相続税申告の前に売却したというのです。そこで国税庁は、それは不動産資産ではなくて金融資産に近いとして課税したことで、最高裁判所まで争われたわけです。

この節税はさすがにやりすぎでした。なかでも、金融機関からの借入金が「節税目的」と明記されていたこと、そしてかなりの資産家にもかかわらず、この方の相続税申告額がゼロだったことが敗訴の大きな原因といわれています。

タワマン節税については、以前からも危ういケースが多々ありました。問題なのは、それを提案している金融機関の多くが税金の専門家ではないという点です。安易に提案書に書いて、それを鵜呑みにしてタワマン節税をした結果、誰も責任を負ってくれないということになりかねません。

相続税評価額が大幅に下がるような節税対策は、税務署に否認される可能性があります。対策を講じる前に、ぜひ相続の専門家に相談してください。



 

天野 隆/税理士
税理士法人レガシィ