今回は、故人の死因別に保険金等の手続きを紹介します。※本連載は、税理士で、小関勝紀税理士事務所代表、株式会社インターティ・エス・オー代表取締役の小関勝紀氏が監修した『夫にもしものことがあったとき妻が読む本』(大泉書店)から一部を抜粋し、夫が亡くなったときに妻が行う手続きについて解説します。

「労災」の対象になるケースとは?

<期限 5年以内>

 

●業務中に亡くなった場合

 

故人の勤務先が労災保険(労働者災害補償保険)に加入していて、死亡の原因が業務上や通勤途中の災害や病気、ケガによるものの場合、遺族は「遺族補償給付」がもらえます。また、葬祭料として31万5000円に平均賃金の30日分を加えた額が支給されます。

 

労災の補償対象は、正社員だけではなく、契約社員やアルバイト、期限5年以内パート従業員も含まれます。受給できるのは、故人が生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です。

 

●死因が労災認定されれば給付金が支給される

 

「遺族補償給付」には「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」がありますが、一時金は死亡時に給付を受け取る遺族がいないなど、特別な場合のもので、通常は「遺族補償年金」が支給されます。

 

給付を受けるには、死因が「業務上の労災」と認められなければなりません。休憩中や通勤途中の私的な立ち寄りなどでは、認められないケースもあります。

 

自動車事故における自賠責保険、任意保険の違いとは?

●自動車事故の被害者の場合

 

故人が自動車やバイクの運転中に交通事故の被害者として亡くなったときは、運転者に加入が義務付けられている「自賠責保険」から、治療費、入院費、葬祭料、慰謝料、逸失利益(本来得られるはずだった所得など)が支払われます。

 

自賠責保険から出る保険金は最高3000万円です。損害が上限額を超えた場合は、加害者が支払います。加害者が任意保険に加入していれば、オーバーした金額の支払いに任意保険を使うことができます。

 

<自賠責保険>

交通事故の被害者を救済するため、原付を含むバイクと自動車に法律で加入が義務付けられており、未加入や保険証不携帯には罰則があります。支払限度額は3000万円で、被害者請求は死亡してから3年以内です。

 

<任意保険>

自賠責保険では補償しきれない部分を補うため、自動車所有者が任意で加入する保険です。保険会社やプランにより、補償限度額が異なります。示談交渉のための、弁護士費用など補償特約がついた保険もあります。

 

●自損事故の場合、自賠責保険では補償されない

 

自賠責保険はあくまで、被害者救済のための保険です。自らの運転ミスで死傷したなどの「自損事故」の場合は、補償がありません。任意保険では、契約内容によって、死亡保険金や治療費などが支払われる場合もあります。

 

●加害者も死亡した場合、加害者の相続人に損害賠償を請求

 

交通事故の加害者も死亡してしまったときは、加害者の相続人が損害賠償責任を負います。加害者に相続人がいるか確認し、連絡を取りましょう。ただし、相続放棄されていた場合は、請求できないこともあります。

 

この話は次回に続きます。

夫にもしものことがあったとき妻が読む本

夫にもしものことがあったとき妻が読む本

小関 勝紀

大泉書店

もしも夫に何かあったら・・・ 病気や事故、突如としてかけがえのない人に先立たれてしまったとき――心の支えを失い、今後の生活設計について不安も多い渦中、妻が進める手続きについて解説します。 生活に必要な名義変更…

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