前回は、富裕層がアンティークコインを買い求める理由について取り上げました。今回は、アンティークコインが売買市場で高値がつく理由を見ていきます。

「手放したくない」と思わせる独特な投資商材

日本でアンティークコインを扱っている業者の方々の大半は、もともとご趣味で集められていた方が多いようです。その一環として、「Aというコインが欲しいけど、手持ち資金が足りない。じゃあBコイン、Cコインを売りにだそう。えっ! こんなに高値になるの!」という具合に、個人で売買されてうまくいき、それで商売にしたというケースがほとんどです。

 

私の場合は全く逆で、最初から投資目的でスタートしました。しかし、始めるうちにアンティークコインが持つ歴史やロマンといった点に魅了され、どっぷりハマったというのが正直なところです。私と同じように投資目的でスタートされていらっしゃるのが、富裕層の方々です。

 

私自身は、最初は50万円から100万円のコインを買いました。実際に購入し、現物を目の前にすると愛着が出てきてしまうのです。これは思いもしない変化でした。愛着が出てくると、ひとつずつのコインに対する歴史背景、なぜそのコインが作られたのか? 肖像画に描かれている人について知り、その国を知り、当時の政治や世相を知っていくと、とても興味を引かれ、自分で勉強をするようになりました。すると、どうなるか? 信じられないことに、売りたくなくなるのです。

 

当初は投資を目的としていたにもかかわらず、「せっかく手に入ったこのコインを手放したくない」という気持ちの変化が起きてしまいました。このような気持ちになる投資商材はほかにはないでしょう。これこそ、アンティークコイン市場が拡大する理由でもあります。

富裕層の心をくすぐる、買いたいのに買えない希少性

みなさん一度手にしたコインを「手放したらもう生涯出会うことはないかもしれない・・・売りたくない」となるのです。もともと少ないものが市場に出回らなくなり、それでも何がしかの理由で手放す時には、ネットオークションはもちろん、海外を中心としたフロアオークションなど、市場に出た途端に高値がつくという構図です。

 

どんなに欲しくても物がないので、買えない、出回った時には高値になる、そういった構造が見えました。そしてこの買いたいのに買えない。札束を積んでも買えない。これもまた富裕層の心をくすぐる理由の一つなのかもしれません。「限定物」の究極ともいえるでしょう。

 

こういった魅力があるからこそ、私を含め、みなさんアンティークコインを持ちたくなるのだと実感しています。

本連載は、2016年11月20日刊行の書籍『海外富裕層がやっている“究極”の資産防衛 アンティークコイン投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

海外富裕層がやっている “究極”の資産防衛 アンティークコイン投資入門

海外富裕層がやっている “究極”の資産防衛 アンティークコイン投資入門

西村 直樹

幻冬舎メディアコンサルティング

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