(※写真はイメージです/PIXTA)

3月に入っても、米国市場は好調に推移しています。こうしたなか、「今回は景気後退は来ない」や「今回はバブルではない」といった主張がみられます。しかし、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏は、金融市場で「今回は違う」という主張が聞こえはじめると「市場のピークが近い」といいます。いったいなぜか、詳しくみていきましょう。

景気後退は来ない、バブルではない…米国で聞かれる主張

最近になって「今回は違う」がいくつか聞かれ始めました。3つ取り上げてみます。

 

1.「今回は景気後退は来ない」

まず、「今回は景気後退は来ない」との主張です。

 

過去の金融市場のパターンでは、すべてではないものの、多くのケースで「利上げや逆イールド(=長短金利の逆転)のあとは景気後退が来て」います。

 

[図表1]米国の2年~10年金利差
[図表1]米国の2年~10年金利差

 

しかし、景気拡大が続くなかで、「今回は違う。これまでいわれてきたような『ソフト・ランディング』ではなく、『ノー・ランディング』であり、米国経済は『着陸』しない」(≒浅い景気後退すら生じない)との見方が出てきています。

 

たとえば、ロイター通信社は3月1日付の記事で、複数の運用者やストラテジストの発言を取り上げて、逆イールドはもはや景気後退の前兆ではないと報じています。

 

2.「今回はバブルではない」

もうひとつ聞かれるのが、「今回はバブルではない」との主張です。

 

現在の米国株式市場も、一部のテクノロジー株式が偏った上昇をみせ、しかもバリュエーションも高水準になっており、2000年の頃の米国株式市場と似ているようにみえます。

 

[図表2]S&P500情報技術セクターの相対株価
[図表2]S&P500情報技術セクターの相対株価

 

しかし、株価上昇が続くなかで、「今回は違う。今回は2000年のITバブルの頃とは異なり、大型テクノロジー企業には利益が伴っているので、バブルではない」との見方が出てきています。

 

たとえば、3月11日付の米Fortune誌の記事や、同12日付のBloomberg社の記事では、主要な米投資銀行の複数のストラテジストが「現在の株式市場やテクノロジー株式の上昇はバブルの状況ではない」と考えていることを伝えています。

 

3.「今回こそインフレが来るのでは?」

2点目の「今回はバブルではない」に関連して大事なのは、いま上昇しているのは、人工知能(AI)や半導体に関連する株式や『マグニフィセント7』だけではないということです。

 

ゴールドやビットコインもそうですし、そうしたキャピタル・ゲインがある資産だけではなく、(100で満期償還される)米国のハイ・イールド債券も買われています。

 

[図表3]ビットコインの価格
[図表3]ビットコインの価格

 

[図表4]米国ハイ・イールド債券指数の信用スプレッド(米国債に対する上乗せ金利)
[図表4]米国ハイ・イールド債券指数の信用スプレッド(米国債に対する上乗せ金利)

 

さらには、高金利で圧迫されていたはずの米国の住宅価格も再び上昇しています。

 

[図表5]S&Pケース=シラー全米住宅価格指数(2000年1月=100)
[図表5]S&Pケース=シラー全米住宅価格指数(2000年1月=100)

 

このように、多くの資産価格が上がる状況をみると、もうひとつの『今回は違う』がみえてきます。

 

それは、「今回こそインフレが来るのではないか」というものです。

 

3つの『今回は違う』

 

1.米景気:「今回は景気後退は来ない」

2.米株価:「今回はバブルではない」

3.インフレ:「今回こそインフレが来るのでは?」

 

人々がインフレのリスクを気にしているのであれば、不換紙幣を持つのを止め、退蔵できるモノや資産に換えようとします。

 

インフレのリスクを感じさせる要因は、(引き締めが望ましいときの)中央銀行による貨幣発行の増加や金融緩和であり、これを招く公的債務の増加や金融機関の苦境でしょう。

 

すでに、実体経済と金融政策は「債務の虜囚(りょしゅう)」になっている可能性があります。

 

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重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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