「節税効果が高くて人気ですよ」の言葉に要注意…養老保険の福利厚生プランに潜む「落とし穴」【経営者専門FPが解説】

「節税効果が高くて人気ですよ」の言葉に要注意…養老保険の福利厚生プランに潜む「落とし穴」【経営者専門FPが解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

法人(企業)が従業員の退職金の準備として、養老保険の「福利厚生プラン」を活用することがあります。企業が受け取った満期保険金は従業員の退職金に充てられるとともに、条件を満たすと保険料の2分の1が経費として損金に算入されるという、法人側にとっての「税金面のメリット」もあります。しかし、導入の際にはさまざまな注意点があることを知っておく必要があります。本稿では、株式会社FPイノベーションの代表取締役・奥田雅也氏が、相談事例を基に注意すべきポイントを解説していきます。

節税効果目的の養老保険は「税務調査」で狙われやすい

この話を聞き、理事長は腕を組んで考え込んでいました。そこで、筆者はさらに質問しました。

 

「ちなみに税金対策を考えておられるということは、医療法人の決算状況は相変わらず好調なんですか?」

 

すると、「あいかわらず収益は好調なので、利益対策をしたいと思ったが、昔のように生命保険を使えないのでどうしたものかと思っていました。調べると、養老保険を使った仕組みがあると知ったので、どうせなら職員の退職金積立を兼ねてできればと思ったんです」とのこと。理事長は、さらにこう続けます。

 

「ただ、奥田さんの話を聞いているとそんなに簡単な話じゃないんですね? よくわかりました。ちなみに何人かの先生に話を聞くと、養老保険を使ってやっていると皆さん言ってますが、よそはどうなんですかね?」

 

そこで、以下のように説明をしました。


「養老保険を使ったいわゆる『福利厚生プラン』というのは、昔からあるメジャーな手法です。そのため、医療機関に限らず業歴の長い法人では導入されているケースはそれなりにあります。ただ、昔から導入している法人は、私がお話ししたポイントをキチンと踏まえて、正しく制度運営をされているケースが多い印象です。

 

一方、そうでない法人は、福利厚生や退職金積立という目的よりも節税効果にフォーカスして制度運営をしているケースが多く、危なっかしい法人がそれなりにあります。実際に、国税不服審判所での裁決事例を見ると養老保険に関する事例も多くあり、歴史が長い分、当局もよく分かっていて税務調査で指摘されやすいという印象ですね。

 

なので、この制度を導入するのであれば本当にしっかりとやらないと危ない。ですので、私個人としてはおすすめしていません。とくに先生の法人のように、いままで退職金制度がなかった法人で導入する場合には、退職金制度を導入することで退職給付債務が発生するリスクと、職員採用・定着という人事戦略において退職金制度が与えるメリットを考慮した上で検討したほうがよいと思います」

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