(※写真はイメージです/PIXTA)

公益財団法人生命保険文化センターによると、2025年には65歳以上の5.4人に1人が認知症になると予測されています。もし自身の親が認知症と診断された場合、子に降りかかってくるのは介護の問題でしょう。そして、介護と密接に関わってくるのがお金の問題です。本記事では、佐藤さん(仮名)の事例とともに、認知症の介護費用に纏わる問題についてFPの牧元拓也氏が解説します。

相続発生時には寄与分の請求が可能

事前に準備することなく、世話をする子供などの家族が費用を負担してしまうと、自分たちの老後資産に影響が出てしまいかねません。日常的な介護を家族のなかで請け負っていた場合には、ほかの相続人に対して寄与分を請求できることがあります。

 

寄与分とは「会社を辞めて長期にわたる療養介護を担った」などの理由で、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人に、遺産分割で法定相続分を超える財産を相続できるようにした制度です。

 

ただし、寄与分を受け取るには他の相続人に認めてもらう必要があり、寄与分を認めるとほかの人の相続財産が減ることになるので、遺族が相続でもめる要因になりかねません。

費用の自己負担額を抑えられる制度も

介護認定を受けると負担限度額認定制度によって自己負担額を軽減することができます。
訪問介護などを利用した場合は医療費控除の適用が受けられます。「生活福祉資金貸付制度」という貸付制度を利用できる場合もあります。

 

親の介護費用に困ったらまずは上記のような公的制度を利用することを検討しましょう。自治体の地域包括支援センターで相談することができます。

事前にできることの確認を

80歳前半の人の認知症有病率は男女全体で21.8%ですが、85歳以降は41.4%となり急激に増加しています。認知症に対する備えのほとんどは、本人が発症前もしくは認知症が進行する前に事務手続きを行うことを想定しています。 

 

もしものときのために家族で話をしておくことが重要だと考えます。認知症への備えというと会話のかどが立ってしまいがちですが、今後の生活をどのように過ごしていきたいのか親の意向を把握し、サポートできることを伝えることからはじめてもいいのではないでしょうか。
 

 

牧元 拓也

ファイナンシャルプランナー

株式会社日本金融教育センター

 

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