銀行員が巧みに勧める「外貨建て保険」に要注意
かあさん:次に外貨建て保険のお話をするわ。外貨とは外国のお金のことよ。たとえば、アメリカなら米ドル。イギリスならポンドね。外貨建て保険は、米ドルなど外貨で運用する保険のことよ。銀行に資産運用の相談に行くでしょ。そうすると、こんなことをいわれるの。「お客様は資産が毎日変動して、一喜一憂する商品と、資産が着実に積み上がっていく商品ではどちらがお好みですか?」
桃太郎:そりゃあ、資産が着実に積み上がっていく商品だよね? 着実ってどういう意味だっけ?
かあさん:確実に増えていくという意味よ。ももは、銀行員がどの商品に誘導していたかわかる?
桃太郎:自分で選んだんだよ!
かあさん:ブッブー! この表現はふたつ目の商品に誘導しているわ。一喜一憂する商品は、投資信託のことで、着実に増えるのが外貨建て保険のこと。これは、「投資信託と外貨建ての保険のどちらがいいですか?」って聞いているのよ。このいい方、ずるいわよね。外貨建て保険に誘導しているのが私からは見え見えよ!
覚えておいて。一喜一憂するなんて不安をあおるときは、何かを売りつけようとするときなの。ところで、銀行はどうして、外貨建て保険を売りたいと思う?
桃太郎:お得な商品だから!
かあさん:「銀行にとってお得な商品」ね。銀行の本業は、私たちのお金を又貸しして利ザヤを儲けることなのよ。
桃太郎:そうなの?
かあさん:でも、日本は低金利だったから、利ザヤを儲けるといってもほんのわずかしか儲からないの。そこで、銀行は保険を売るというアルバイトを始めました。投資信託を売るアルバイトはずいぶん前からやっていたのだけどね。ももちゃん、アルバイトするなら時給が高いほうがいいでしょ?
桃太郎:もちろん!
かあさん:最近は購入時の手数料が無料の投資信託が増えてきたし、もともと購入時手数料は1%から3%くらいだったの。
そこで、銀行は保険を売ったほうが儲かると考えたのよ。外貨建て保険の手数料は7%くらいだから、100万円分の保険に入ると7万円が銀行の収入になるわ。投資信託だと同じ100万円を売っても、儲けは1万円から3万円。銀行は手数料の高い外貨建て保険を売りたい。で、さっきみたいに誘導してくる。
外貨建て保険には入ってはいけません。外貨建て保険に入るときと保険金をもらうときとの両方で両替手数料がかかるし、本当のアメリカの金利はもっと高いのに、外貨建て保険では低く提供されている。一見金利が高くても、実際はお得じゃないのよ。
それから、投資信託を勧めてくることもあるけど、銀行員が勧めてくる投資信託は、手数料が高いから気をつけてね。
横川由理
ファイナンシャル・プランナー
※本記事は『知らなきゃ損! インフレってなに?』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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