世界の雇用の4割に影響を与えるAI…フィリピンでは?
国際通貨基金(IMF)は研究を通して、人工知能が世界の雇用の約40%に影響を与える可能性があると見ています。人間の仕事を補完するとされつつも、ある分野の仕事に取って代わり、経済的な不平等を悪化させる可能性があるとも指摘しています。
先進国では、雇用の約60%が人工知能の影響を受けると予想され、その半分は人工知能によって労働生産性が向上し、他の半分は人間が行っているタスクを実行できるため、労働需要が低下し賃金が減少する可能性があるとしています。また技術によって自動化可能な仕事にはリスクがあり、人々にこれらの技術を活用して競争力を高める方法を教育する必要があるとしています。さらに、企業や組織は影響を受ける従業員をサポートするために新しいスキルを身につける手助けをするべきだとしています。
IMFは、フィリピンは、先進国と同様にサービスセクターへの依存の大きい経済構造となっているものの、インフラストラクチャーと知的労働力の不足という点で、先進国に大きく後れを取っていると指摘しています。人工知能(AI)技術への移行はフィリピンのサービスセクターにおいて労働生産性を向上させる可能性があり、またフィリピン経済が早期にサービスベースの経済に構造変革したことから、デジタルスキル通じてサービスセクターの労働生産性を向上させることが不可欠であるとしました。これには労働力のスキル向上が含まれ、人工知能ツールをフル活用して付加価値の高い分野に進むこと、都市圏外でのデジタルインフラの充実が必要としています。
Oxford Insightsの2023年の政府AI準備指数では、フィリピンは193ヵ国中65位の51.98のスコアを記録しています。これは44.94のグローバル平均よりは高いですが、IMFは、フィリピン政府がもっと積極的にAIの採用を主導するべきだと主張しています。安定したエネルギー供給やインターネット接続など、AIを受け入れるためのインフラ整備が必要であり、ビジネスや政府機関が生産性向上を図るためのツールの採用を奨励するための努力も必要だとしています。
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