(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後のプランとして、「海外へ移住したい」「店をやりたい」といった希望を抱く人も少なくありません。とはいえ、退職金の使い道として「『起業』の次に気をつけてもらいたいのは『海外移住』」と、経済ジャーナリストの荻原博子氏は言います。萩原氏の著書『老後の心配はおやめなさい』より、定年後の過ごし方を決める際に知っておきたいことについて、詳しくみていきましょう。

同居よりハードルが低い「親の近くに住む」という選択

これとは別に、自治体でも、移住者に補助金を用意しているところが増えています。詳しくは、「一般社団法人移住・交流推進機構」のホームページで支援自治体を検索してみてください。

 

親が高齢で、介護が心配だという人は、リモートワークが可能なら、親の近くに住むという選択もあるでしょう。地縁、血縁のある土地への移住なら、なじめず撤退、という可能性も低いでしょう。

 

自治体にとっても、介護は大きな問題ですから、親世帯との同居や近居を望む人には支援するところが出てきています。近居とは日常的な行き来ができる“スープの冷めない距離”に住むことで、同居よりハードルが低いです。

親元に戻ると補助が出る

たとえば、神奈川県厚木市の「親元近居・同居住宅取得等支援事業補助金」は、親世帯が厚木市在住で、子世帯が市外から転入する場合、同居用の住宅購入だと60万円、近居なら40万円が補助されます。リフォームは費用の1割で上限20万円。

 

ほかにも子世帯に中学生以下の子供がいる、世帯主が40歳未満など4つの条件を満たすと、それぞれ10万円ずつ加算され、最大100万円になります。

 

千葉県松戸市も「三世代同居等住宅取得支援」で、親世帯が松戸市在住、子世帯に中学生以下の子供がいることなどの条件をクリアすると、同居用の住宅購入には75万円、近居なら50万円の補助金が出ます。子世帯が市外から転入すると、ここに25万円が加算されて、最大100万円になります。

 

山梨県鳴沢村の「三世代同居等支援事業補助金」は、子世帯の転入だけでなく、親世帯と子世帯がそろって転入でも補助金が出ます。条件は子世帯に中学生以下の子供がいること。補助金は住宅購入なら、同居でも近居でも費用の2分の1で、新築なら上限100万円、中古なら80万円。同居ならリフォームでも補助金が出ます。親が住む自治体にそうした制度がないか問い合わせてみましょう。

 

「海外移住」でも「国内移住」でも、地縁血縁もない所に退職金をはたいて移住するのはリスクが大きいということは知っておいて欲しいことです。

 

 

荻原 博子

経済ジャーナリスト

 

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※本連載は荻原 博子氏による著書『老後の心配はおやめなさい』(新潮社)より一部を抜粋・再編集したものです。

老後の心配はおやめなさい

老後の心配はおやめなさい

荻原 博子

新潮社

親の介護に必要な額が3000万円?! 準備すべき自分の老後資金は2000万?! わずかな年金だって破綻したらどうする?! 増えない貯金、揉める相続、かさむ医療費……その心配、本当にするべきなのでしょうか。不安になるのは知らない…

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