(※写真はイメージです/PIXTA)

2021年から続いていたインフレが鎮静化し、金利が低下するとみられていた米国経済。しかし、11月以降も消費と雇用が好循環をみせるなど、「絶好調」といえます。株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏が、そんな米国経済の“信じがたい強さ”の秘密を解説します。

金利高止まりは「悪いこと」ではない

このように考えると、現在進行中の金利上昇と金利高止まりは良いことであるとの結論に至る。過去50年間の金利趨勢を振り返ると、金利上昇は悪いこと、金利下落は良いこととの感覚が続いてきたようである。

 

1970年代の金利上昇は悪い金利上昇であり、インフレ、政府の信認の低下、ドル不安等が起こってリスクプレミアムが高まり金利が上昇し株価は低迷を続けた。

 

[図表10]により物価上昇率でデフレートさせた実質NYダウ指数を見ると、金利上昇が始まった1966年をピークに1982年のボトムまで17年かけて75%下落と、大恐慌並みの下落となった。まさに悪い金利上昇であった。

 

[図表10]実質株価(NYダウ)と経済レジームの盛衰推移
[図表10]実質株価(NYダウ)と経済レジームの盛衰推移

 

これに対して1981年以降の40年間の長期の金利低下はインフレの低下、貯蓄余剰の高まり、それに伴うリスクプレミアム低下による良い金利低下だった。実質株価は1982年から2022年までの40年間に32倍(年率9.1%)となった。しかし金利上昇は悪、下落は良と単純に決めつけることはできない。

 

[図表11]金利と株価・経済のマトリックス
[図表11]金利と株価・経済のマトリックス

 

[図表11]に示すように、いまの金利上昇が潜在成長率の高まりによるものだとすればそれは良い金利上昇である。成長率が高まり、中立金利が上昇している下で、低水準の政策金利を維持し続ければ、インフレや資産バブルの恐れが高まる。FRBはインフレ懸念が去っても、高金利を維持しなければならない。

 

これがFRBのHigher for Longerの真意であるとすれば、いまの金利高は株高要因といえる。

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年12月30日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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