(※写真はイメージです/PIXTA)

出世街道まっしぐら、部長職にまで上りつめた会社員は、多くの人が「勝ち組」と認めるところです。しかし、だからといって「老後も安泰」とはいかないようで……。本記事では大野さん(仮名)の事例とともに、現役時代に高収入だった人の老後リスクについて、FPの小川洋平氏が解説します。

気楽なセカンドライフからわずか2年…

そして、そんな生活を2年続けたころに、預金残高が2,000万円を切ったところで大野さんは今後の生活に対して大きな不安を感じ、妻の和美さんのもとを訪ねます。

 

「帰ってきてくれないか」と諭しますが、和美さんはなかなか首を縦に振りません。プライドの高い大野さんでしたが、最後には「どうか帰ってきてくれ」と土下座までして懇願したのでした。

妻別居時にとれたはずの対処策

和美さんが実家に別居してしまったことがきっかけで収入が減少し、さらには生活費の支出も増えてしまったことが大きな問題です。

 

妻が専業主婦の場合に多い「家計管理ができない夫」

一回の支出は数百円~千円程度ですのであまり大きな支出には感じない外食費やコンビニのお弁当ですが、仮に一回800円としても一日3食、30日繰り返せばそれだけで毎月の支出は7万円を超えてしまいます。それに加え、現役のころよりも多少は控えているとはいえ交際費も毎月5万円程度は掛かってしまっています。


妻の和美さんが別居した理由は老親の面倒を診たいからということでしたが、実際のところ大野さんと家にいる時間が長くなってしまったことが嫌になり、いわゆる「夫源病」に近い状態になっていたのでした。そのため、和美さんに対するコミュニケーションを改める必要があったといえるでしょうが、和美さんが別居の意思を伝えた際に、今後の家計の収支をしっかり自分で考える必要がありました。

 

これだけの赤字が続けば問題を早期に把握することはできたでしょうし、生活費を抑えたり退職後も就労を検討したりするなど、対策を早期に検討すべきだったでしょう。

 

マンションに自分が住み続けることは必須だったのか?

ちょうどマンションの価格も上昇していましたので、マンションを手離せばまとまった資金を手にすることができ、それを元手に地方に移住し中古の小さなマンションや一軒家を購入することでランニングコストや生活費も抑えることもできたはずです。また、売却せずとも賃貸にして収益を得ることもひとつの手でした。


早期に問題点を把握し、どのように対策していけばいいのかを考えればこのようになにかしらの対処ができた状況といえるでしょう。

現役時代に高収入な人が老後破産しやすいワケ

現役時代の収入が多いとそのときのお金の使い方が習慣化してしまい、またどの程度お金を使っているかを把握する癖がついておらず、リタイア後も同様に支出してしまう方も多いものです。大野さんのように人付き合いが多い職種の人や、企業経営者、個人事業主などに多い傾向があります。

 

こういった問題を事前に見える化し、対策を考えることができるのがライフプランニングです。

 

2019年に話題となった「老後2,000万円問題」の発端である金融審議会「市場ワーキンググループ報告書」においても、平均的な高齢夫婦の二人暮らしの必要生活費に対し、公的年金では毎月約5万円程度不足し、人生100年時代を生きると大体2,000万円程度不足しているという試算が発表されています。

 

厚生年金はその人の報酬額、加入期間に比例し金額が増えていく仕組みですが、収入が高いからといっても年収300万円、400万円の人たちとそこまで大きく変わるわけでなく、反対に現役のころの生活水準が高かった人たちが年金生活に入ると、現役のころに十分な資産形成を行っておかないと一般の世帯よりも生活水準が高い分公的年金の受取額に対してのマイナスが大きくなるため老後破産のリスクと隣り合わせなのです。

 

そのため、収入が高いからといってもしっかりお金と向き合い、問題点を把握し、自身の望む人生を送るためにどの程度の準備をする必要があるかを早期に考えることが大切なのです。

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説

 

【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意

 

【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

 

※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧