「賃上げの波」と引き換えに淘汰される中小企業…〈上下関係の薄い〉自由なつながりの組織が生き残っていく“納得のワケ”

「賃上げの波」と引き換えに淘汰される中小企業…〈上下関係の薄い〉自由なつながりの組織が生き残っていく“納得のワケ”
(※写真はイメージです/PIXTA)

政府は、2030年代半ばまでに最低賃金を1,500円に引き上げる目標を掲げています。また、終身雇用などの日本型雇用慣習を見直すことも閣議決定しました。しかし、この流れによって賃上げができない企業は今後、どうなっていくのでしょうか……。社員数50名の新聞販売店を23年間経営し、多くの企業の経営支援に携わってきた米澤晋也氏が解説します。

感性価値は、上下関係の薄い自律的なチームで生まれる

感性価値を創造するためには、従来の「統率」「画一的な管理」「上意下達」「一枚岩の組織」といった組織運営のあり方を見直すことが欠かせません。

 

このことは「おもてなし」を考えると分かります。「おもてなし」は、その場の状況や、相手などに応じ、即興でオリジナルのサービスを提供します。非常に創造性が求められる芸当です。画一化、標準化は不可能な上、上司の指示命令によってできるものでもありません。

 

感性価値の創造には、従来の組織運営とは大きく異なる論理が求められます。

 

・自由闊達な社風と、メンバー間の豊かなコミュニケーション

 

・メンバーの意思決定への参画

 

・偶発性を活かす柔軟な風土

 

・実践から学び合う学習制度

 

組織の形態は、従来の「上意下達」から、必然的に「上下関係の薄い自由なつながり」で成り立つ、自律型チーム形態になります。

 

チーム単位で課題を持ち、自由な雰囲気でワイワイガヤガヤと話をする中で、誰かが面白いアイデアを出します。そのアイデアにフォロワーが付き、賛同者が増え、やがて「チームのアイデア」としてメンバー間で共有されます。

 

メンバーはアイデアにコミットし、自分事と捉えているので、実行の役割分担を自律的に決めることができます。偶然の出来事をチャンスに変える力も生まれます。

 

上意下達の組織形態は、上が決めた戦略を、部下が実行するという構図で仕事を進めます。この場合、途中で戦略を変えると組織が混乱するため、ゴールに向けてまっしぐらに走るしかなくなります。すると、偶然の出来事をキャッチできず、チャンスを見過ごしてしまいます。

 

一方、自律性の高いチームは、非常に柔軟性が高いので、偶然の出来事を活かし、チャンスにすることができるのです。

 

人材育成も変わります。従来は、上司と部下の成長対話により行われてきましたが、自律型組織では「仲間同士の学び合い」が主になります。感性価値の高い仕事をした仲間の実践事例をもとに学び合うのです。実践の数だけ学びのチャンスがあり、学ぶことでより良い実践が増えるという好循環が生まれます。

 

従来の組織運営に慣れた方には、少々気持ち悪く感じるかもしれませんが、感性価値の創造には、このくらい大胆な風土変革が求められると考えています。

 

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