(※写真はイメージです/PIXTA)

子や孫の口座を作って預金すること自体は、多くの家庭でよく見受けられます。しかしこのような預金は、場合によっては税務調査の対象となり、結果として高額な相続税や贈与税を払うはめとなる可能性もあると、FP1級の川淵ゆかり氏はいいます。本記事では、Aさんの事例とともに、預金にまつわる相続・贈与の注意点について解説します。

税務調査でバレる名義預金

名義預金は口座名義人に関係なく、預金を管理している人の物として扱われます。つまり、Aさん名義の口座は、父親の死後に入金を行い管理していたことから母親の財産となります。ですから、相続発生時にはこの名義預金も相続財産に含める必要があったのです。

 

さて、そんなAさんに相続税の税務調査が入りました。

 

相続税の税務調査では、亡くなられた方の財産状況はもちろんですが、税務署は金融機関への情報開示も請求できるので、親族の口座の取引状況まで照会されてしまいます。もし、親族のなかで収入に見合わないような預貯金があった場合にはその資金源を問われることになります。

 

Aさんの仕事や収入の状況などから、どう見ても不自然な口座残高は、母親からの口座からの移動が確認され、税務署から指摘を受けることになりました。

 

このように、名義預金は税務署にバレてしまうことがあります。名義預金を相続税の課税財産に含めておかないと、税務署から指摘で追徴課税や延滞税などのペナルティを受ける恐れもありますので注意しましょう。

 

なお、大きくなった子どもに生前に通帳を渡して管理させるようになった場合は、その時から子どもの財産となりますが、当然、贈与税の課税対象となります。

 

贈与税の時効は6年(悪質な場合は7年)となっていますが、名義預金にはこの時効は通用しません。親が口座の管理をし続けていることで贈与という事実はありませんから、贈与税の時効は成立せず、相続財産として相続税の計算をしなければなりません。

 

昔からの名義預金だから大丈夫、と考えず、タイミングをみて名義人に管理を任せて贈与するか、生前贈与しないのであれば自分の財産であることを家族に伝えて相続財産にする必要があります。金額が大きい場合は、節税対策などを専門家に相談してみましょう。

姉弟ゲンカ勃発!

相続が発生したあとは、相続財産をどうわけるかで相続人同士が話し合う「遺産分割協議」が行われます。自分名義の多額の口座が見つかったことで余裕のできたAさんは、姉と争うこともなく、遺産分割協議はスムーズに終わりました。

 

しかし、姉から問いただされます。

 

「ねえ、あの通帳は?」さすがはしっかり者です。Aさんの分も預金があることを覚えていました。

 

しらばっくれていたAさんでしたが、その後の税務調査で名義預金が見つかったことにより、大げんかとなります。

 

姉は、当然「半分寄こしなさいよ!」と詰め寄ります。AさんはAさんで「自分だって口座から結婚資金を出したじゃないか!」と言い返します。

結婚費用はどうなるか?

Aさんの姉は結婚のときに名義預金から披露宴などの費用を払ってもらいましたが、この口座も父親が管理していたもののため、父親からの支払いとなります。110万円を超える贈与には贈与税がかかりますが、子どもの結婚となるとこの金額以上のお金をかける親御さんも多いでしょう。

 

結婚費用として親からお金を出してもらった場合はどうなるのでしょうか?

 

挙式費用や披露宴費用を親が支払ってくれた場合の結婚資金援助は贈与税の対象にはなりません。ですが、挙式費用を実費で払ってもらうのではなく、結婚資金援助として銀行に振り込んでもらった場合等は贈与となりますので、110万円を超えてしまうと贈与税の対象になってしまいます。

 

なお、2025年(令和7年)3月31日までの時限措置として、「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例」があります。これにより、受贈者一人あたり1,000万円までの贈与税が非課税となりますが、結婚資金の贈与に充てられる部分は300万円までとなっています(「結婚・子育て資金非課税申告書」の提出等が必要です)。

 

また、結婚祝いのご祝儀も合計すると110万円を超えるケースも多いですよね。家族や友人などから結婚祝いとして受け取る金品は基本的には贈与税はかかりませんのでご安心ください(ただし、一個人からあまりにも大きな金額の場合等は例外です。ご注意ください)。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

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