(※写真はイメージです/PIXTA)

いつの時代もなくならない相続トラブル。親/子ども/きょうだいと、死後のことを話すのは気まずい…。といった声は多いものですが、生前対策を怠ってとんでもないトラブルに巻き込まれる事例が相次いでいます。そこで本記事では相続対策の「基本のキ」を紹介していきます。

ゴネる妹…長男がふと気づいた、とんでもない事実

母が亡くなった今、義男さんは長年住んできた自宅を手放す気でいました。1人で暮らすには広すぎるし、建物も古くなっている。実家暮らしだった分預貯金は存分にあるため、職場から近いマンションの一室を借りようと検討していたのです。自宅の売却益と預貯金をあわせて、折半しようと持ちかけました。

 

それに「待った!」をかけたのが、妹の佳代子さん。「私は500万円を相続するから、お兄さんは家に住み続けてほしい」というのです。

 

「お母さんの思い出が詰まった家だし、手放すなんて嫌よ」と言葉を続けます。滅多に帰省しなかった妹がなぜ急にそんなことを……。訝しがる義男さんですが、間もなく、ある疑念が湧いてきます。

 

「妹は、俺が死んだあとのことまで考えているんじゃないか?」と。

 

義男さんは独身で、この先結婚する予定もありません。もし義男さんが独り身で亡くなれば、佳代子さんが相続権を有します。このまま自宅に住み続けたら、佳代子さんは自宅+義男さんの預貯金等を継ぐことになるのです。

 

一方、もし義男さんが家を手放しマンションを借りてしまったら、義男さんの預貯金は減るでしょう。結果、佳代子さんは自宅を相続できず、相続財産も少なくなることは明らかです。

 

いやいやいや、考えすぎかと義男さんは頭を振りましたが、一度疑ってしまった以上、疑念は晴れません。どうして「思い出が詰まった家だし」なんてもっともらしいセリフを吐くんだ? いずれ住みたいのか?……頭の中では大量に言葉が出てきますが、コミュニケーションをまともに取ってこなかった間柄。うまく話すことができませんでした。

 

結果として、折れたのは義男さんでした。姪っ子・甥っ子は可愛いし、妹家族が幸せになるのなら、と佳代子さんの要求のとおりの遺産分割をしたのです。義男さんは今でも、だだっ広い一軒家で淡々とした日々を過ごしています。

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