(※写真はイメージです/PIXTA)

お給料日。明細を開いて「まあ手取りだとこのくらいか……」とがっかりした経験はありませんか。仕方のないもの、と思うところではありますが、給与明細の内容を正しく把握することは非常に大切なことです。本記事では、金融業界25年のキャリアを持つFP田中和紀氏による著書『FPが教える!マネーリテラシーを高める教科書』(ごきげんビジネス出版)から、給与明細の見方について解説します。

3.支給額から差し引かれる控除とは?

控除とは、総支給額から天引きされる金額です。

 

健康保険料

これにはたとえば、健康保険料があります。医療費負担を軽減するために支払う社会保険料です。保険料は4月から6月までの標準報酬月額※1で決められます。

 

※1 標準報酬月額 月の総支給額で、通勤手当なども含まれた総支給額が標準報酬月額に相当するもの。

 

4月から6月までの額をもとに計算されるため、この期間に残業手当が多いと、標準報酬月額が多くなり、健康保険料が増えてしまいます。残業がコントロールできるのであれば、うまく調整するとよいでしょう。

 

たとえば、標準報酬月額が25万円であれば、約5%である12,500円が月の健康保険料となります。会社も折半で約5%負担しており、合計約10%が国に納められています。

 

厚生年金保険料

次に、厚生年金保険料についてです。将来の年金のために支払うお金で、標準報酬月額の約9%を支払います。会社も折半で約9%を支払い、合計で約18%を国に納めているのです。たとえば、標準報酬月額が25万円であれば、約9%である22,500円が月の厚生年金保険料となります。

 

その他の社会保険料

他にも、雇用保険料が標準報酬月額の0.5%ほどで、介護保険料が0.8%ほどです。社会保険料で4つの項目があり、合計で標準報酬月額の15%ほどを支払うイメージになります。注意すべきことは、税金のような所得控除などはなく、会社からの総支給の金額に15%ほど支払うことです。

 

なお、勤務中のケガなどを補償する労災は、すべて会社が保険料を負担しています。社会保険料は、あくまで自分のために支払うものでもあり、健康・高齢・失業・介護などが原因で稼ぐことが難しくなった場合などに、国が支援してくれる制度です。以上が社会保険料の控除になります。

 

所得税と住民税

そして税金も控除されます。所得税と住民税が対象です。

 

所得税は累進課税で、所得に応じて税率が5%から45%まで変化します。高所得者ほど高税率となっています。会社員の場合、毎月の給与から税金を天引きされる源泉徴収です。税金は当年の給与で確定するため、年末までの未確定段階では仮計算された額が源泉徴収されています。よって年末調整で過不足を調整するのですね。所得控除額などが多くあり、源泉徴収で税金を払いすぎていた場合は、お金が戻ってくるのです。

 

住民税は所得の10%程度で、当年の税金は翌年中旬以降に納めます。会社員は特別徴収といって給与から納める方法で、所得税と同じように源泉徴収されます。税金は、通勤手当や所得控除などを差し引いた課税所得に対して計算されたものです。よって税金は社会保険料よりも、基準となる金額を少なくでき、負担減になっています。

 

たとえば、税金が所得税で5%、住民税で10%の合計15%で、社会保険料も15%であったとしても、税金の15%のほうが所得控除などもあり、社会保険料の15%より少ない負担となるのです。

 

税金は経費・非課税手当・所得控除などがあり節税可能ですが、社会保険料はダイレクトに徴収されます。他にも共益費といって、会社のレクレーション費なども控除されるケースもありますね。支給の金額から控除の金額である社会保険料や税金を差し引いて、銀行口座に振り込まれます。

30代前半会社員の平均月収は約34万円だが…

このように、社会保険料や税金は収入から控除されます。私が会社員時代であった30代のころ、控除の存在をあまり理解せず、手取りの少なさに驚いたものです。

 

独身で、20代よりも給与が上がる世代ですが、所得控除も少なく、税率も高くなったことなども要因だったのでしょう。ここがお金について学ぶキッカケにもなったのかもしれません。

 

※2 国税庁:令和3年分民間給与実態統計調査,2022

 

 

田中 和紀

ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は『FPが教える!マネーリテラシーを高める教科書』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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