「悪いインフレ」により物価が上がってしまうケースも
最後に、特殊要因で物価が上昇した点についても解説しておきます。
というのも、2008年に物価上昇の山があります。これは「デカップリング(切り離し)論」の影響によるものです。
2008年9月のリーマン・ショック以前から、サブプライム・ローン問題の顕在化により、欧米の株価は下がりつつありました。そして、先進国株を売って余っていたお金が、先進国経済はダメでも新興国経済は大丈夫という「デカップリング論」により、原油や穀物の先物市場にどっと流れたことで、金融市場よりも規模が小さい商品先物市場で価格が暴騰しました。
2008年の物価上昇はこのためです。これは輸入物価上昇によるものですから「悪いインフレ」です。そして直後にリーマン・ショックが起き、一気にデフレに突入しました。
2014年にも物価が上がっています。この年は4月に消費税率が8%に引き上げられた年です(このグラフは消費税調整済み)。これは、バブル以降なかなか値上げに踏み切れずにいたところ、消費税率引き上げによって価格が変わるタイミングで、値上げしたためではないかと思われます。
そして、2022年の物価上昇も、ロシアによるウクライナ侵攻による「悪いインフレ」と言えるでしょう。
永濱 利廣
第一生命経済研究所
首席エコノミスト
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