年金月23万円の70代・仲良し夫婦、自宅を売って「老人ホーム」入居…39歳の娘“大激怒”も夫婦「幸せです」のワケ【FPが解説】

年金月23万円の70代・仲良し夫婦、自宅を売って「老人ホーム」入居…39歳の娘“大激怒”も夫婦「幸せです」のワケ【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

長寿化が進むなか、介護を必要とする人が増えています。「できることなら、住み慣れた自宅で介護を受けたい」と考える人は多いですが、さまざまな理由から難しい場合、選択肢として挙がるのが「介護施設」です。そこで今回、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、介護施設ごとの特徴や必要な諸費用など、具体的な事例を交えて解説します。

A夫妻は「サ高住」への入居を決断

ご夫婦で施設に入るとなると、2人部屋にするか、1人部屋を2部屋借りるのか悩むところですが、費用面を考えると2人部屋を借りるほうが負担を抑えられるケースが多いです。ただ、2人部屋は1人部屋に比べて数が少ないのが現状です。A夫妻は「できれば2人で同じ部屋に住みたい」と希望されました。

 

A夫妻の場合、ご主人には介護が必要ですが、奥様は現状介護は必要ありません。自立している人が施設へ入居できるのかと思われるかもしれませんが、「自立支援費(自立サポート費)」などを支払うことで入居が可能な施設が増えています。

 

いろいろと検討された結果、A夫妻は2人部屋で眺めがよく、病院の近くに立地する「サービス付き高齢者向け住宅」への入居を決断しました。部屋のなかにキッチンやトイレ、浴室などの設備があるのでプライバシーが守られつつ、外出の制限もないため自由に日常を過ごすことができます。

 

また、スタッフによる見守りサービスがあり、困ったことがあれば相談できるので安心です。もし入浴介助などの介護が必要なときには、外部で契約した介護ヘルパーによるサービスが受けられます。

 

筆者はA夫妻から相談を受けて、A夫妻がこのサ高住に入居して30年過ごす場合の費用を計算しました。

 

[図表2]A夫妻が気に入ったサ高住の費用
[図表2]A夫妻が気に入ったサ高住の費用

 

■A夫妻が100歳まで過ごせる資金プラン

【収入と資産】

年金23万円×30年=8,280万円

預金1,900万円

自宅を売却した資金2,700万円

合計1億2,880万円

 

【支出】

30年間の生活費:30年×32万円=1億1,520万円(食費・管理費・居住費・介護サービス費・日用品・消耗品費・娯楽費・その他の費用を含む)2人部屋

夫の介護費用(重度化して5年間):300万円(月5万円を5年分)

妻が介護状態に(8年分):480万円(月5万円を8年分)

合計1億2,300万円

【収入と資産】―【支出】=約580万円の余剰金

 

上記はあくまで概算ですので、ご主人の介護度が重くなったり、奥様が早期に要介護となり介護が長期化したり、先にご夫婦のどちらかが先立たれるなどの変化があります。

 

また余剰資金が少し残る計算ですが、医療費が想定以上にかかるかもしれません。先々、介護が重度化するなどして資産に余裕が無くなってきた場合には特別養護老人ホームなどへの入居も視野に入れておく必要があります。

 

 

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※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

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