「個人向け国債」が株式よりもおすすめな理由
次は債券※についてです。債券を身近に感じる人は少ないと思われますが、投資といえば債券と株です。
※債券:簡単にいえば借用証書です。ただし借用証書は、基本的に売買することはできないが、債券は発行体が信用ある組織であり、売買が盛んに行われる。債券は「売買される借用証書」と理解しておくとよい。
2大投資先のひとつに挙げられるのですが、株ほど債券投資は身近に感じません。なぜなら、私たちが債券で運用するケースは少なく、銀行や企業が大きな取引単位で運用するケースが多いからです。
しかし近年では個人向け国債も発売され、身近になりつつあります。
売買されるためには、売買価格を毎日決める必要があり、毎日値付けされます。発行体の信用や金利状況で、債券価格が変動します。値動きは大きくありませんが、値段が高いときに購入し、安いときに売却すれば損失もあるのです。
もともと債券は借用書なので、期限まで保有すれば、発行体の破綻などがなければ利息と元本が戻ってきます。発行から期限まで所有すれば損は発生しないのですが、途中売買すれば損が発生することもあるのです。
逆にいえば、売買による値上がり益も狙えます。株ほどダイナミックな値動きはないのですが、投機的な取引も可能です。
債券には、利息によるインカムゲインと、値上がり益によるキャピタルゲインがあります。この2つの利益を合算し、所有期間で割った、1年あたりの利回り計算は覚えておきましょう。
たとえば、3%の利息で期間5年の債券を100万円購入し、2年後に105万円で売却した場合、利息で6万円、値上がり益で5万円となり、11万円の利益。2年間所有したので、1年あたり5.5%の利回りとなります。利息だけで考えれば3%の利回りですが、キャピタルゲインも考慮する必要があるので、5.5%の利回りになるのです。
利息だけでなく、値動きがある投資として、債券を理解しておきましょう。
私たちが債券を初めて購入する際は、まず個人向け国債を検討してみましょう。利率は1%以下ですが、条件付きながら元本保証となっており、債券投資の初歩としては安心です。
投資初心者におすすめ…地方公共団体や会社が発行している債券
他にも、地方公共団体や会社が発行している債券などがあり、種類は豊富で1%以上の利息を付ける債券もあります。これらは途中売買による損失の可能性はありますが、債券の値動きは小さく、株ほどのリスクはありません。投資初心者には適していると思います。
債券投資の注意点
しかし、発行体の破綻には気をつけるべきで、格付けなどはチェックしておくべきです。なお、格付け会社が発行体の格付けを提示しており、BBB(トリプルビー)以上は投資適格債といわれ、信用力はあるとの位置付けです。
格付けは上からAAA→AA→A→BBB→BB……Dなどとなっており、格付けが低い発行体の債券は利息など高めですが、破綻リスクも高め、ということになります。
ここまで預貯金と債券を取り上げてきました。ともに金利が大きな影響を与える金融商品です。債券も世の中の金利状況で利息が決定されるので、今後の金利上昇局面では人気となる可能性があります。預貯金や債券の金利が上昇すれば、わざわざリスクが高い株で運用しなくてもよくなるでしょう。
まだまだ1%にも満たない金利ではありますが、預貯金や債券は安全性があります。今後の経済状況を捉え金利をチェックし、長期的視野で考えていきましょう。
田中 和紀
ファイナンシャルプランナー
※本記事は『FPが教える!マネーリテラシーを高める教科書』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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