米金利上昇と米ドル高はおおむね相関していたが…
先週、米長期金利、10年債利回りはこの間の高値を大きく更新し一気に5%の大台に迫るところとなりました(図表2参照)。前回から悪化が予想されていた米経済指標が、予想外に強い結果となったことがきっかけとなったのです(下記参照)。
〈16日〉NY連銀製造業景気指数=予想-5.8、結果-4.6
〈17日〉米9月小売売上高(前月比)=予想0.3%、結果0.7%
こういったことから、日米10年債利回り差の米ドル優位も大きく拡大しましたが、これまで見てきたように米ドル/円は上げ渋ったため、日米金利差と米ドル/円はかい離が目立つところとなりました(図表3参照)。
ところで、このような金利差とのかい離は、先週はユーロ/米ドルでも見られるところとなりました。
米10年債利回りの一段の上昇を受けて、独米10年債利回り差ユーロ劣位は拡大しましたが、それを尻目にユーロ/米ドルは小幅ながらユーロ高・米ドル安の動きとなったのです(図表4参照)。
以上のように見ると、米金利上昇に対する米ドル買いの反応の鈍さは、対円での米ドル売り介入への警戒感だけではない可能性があります。
ちなみに、図表5は独米の10年債利回りを重ねたものですが、両者は水準こそ違うものの、値動きには一定の相関性があることが分かるでしょう。ただ最近は独金利の上昇より米金利上昇の勢いが強く、両者は微妙にかい離しているようにも見えます。
以上から考えられるのは、最近にかけての米金利上昇は、強い米景気を反映した金利上昇といった側面とは別に、米国の財政赤字を懸念した「悪い金利上昇」の側面もあることから、金利上昇が素直な米ドル買いをもたらさなくなっているとという可能性です。
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