(※写真はイメージです/PIXTA)

年金の受給について注意点

年金については、繰下げ受給で65歳開始の受給額より増額(1ヵ月0.7%)させる方法もあります。公的年金は終身で受給できる点が特徴であり、「長生きリスク」への備えとなります。

 

ここで注意すべきは、老齢厚生年金を繰下げしても、加算される加給年金には繰下げ分の増額がないという点です。老齢厚生年金を繰下げすると、受給開始前・繰下げ待機期間中の加給年金を捨ててしまう形になります。

 

たとえば、老齢基礎年金と老齢厚生年金を70歳で繰下げすると、65歳時に213万円の年金は、42%(0.7%×60ヵ月)増額されて302万4,600円となりますが、加給年金は70歳からの加算開始となり、かつ加算額は先述の62万円のままとなります。

 

実際のところ、Cさんへの教育資金その他の支出のこともあり、収入の不足分を埋めるはずの貯蓄は取り崩しがしづらく、その結果、繰下げ受給は選択しづらい状況になるかもしれません。

 

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ受給開始時期を選択できることになっています。年金額、繰下げ受給の詳細については今のうちに年金事務所でも確認しておくとイメージできるようになるでしょう。

子育てが落ち着いたらBさんも働く

妻のBさんは、Aさんより20歳以上若い以上、今後10年先、20年先も現役世代となります。とりあえず子育てに専念したいとも考えるBさんも、これから先、その状況を見つつ、再び働くことがポイントです。Aさん同様、フルタイム勤務が難しい場合でも、パート勤務や在宅業務で働き続けることを検討してみましょう。

 

そうなると、Aさんが完全に年金生活になって以降も、Bさんの給与収入とAさんの年金収入で家計を支えられるイメージとなります。Aさんと比べれば、まだ先になりますが、Bさんの老後のことも考えると、やはり長く働ければ理想です。

 

Cさんの教育資金やAさんの老後資金、その他の急な支出で3,500万円の貯蓄(Aさん3,000万円+Bさん500万円)のほとんどを使ってしまうことも想定しながら、日々の生活費などはAさんとBさんで協力して稼ぐくらいのつもりがよいでしょう。いずれにせよ、今から夫婦で働き方についてしっかり考えて、計画を立て、実行することが肝心です。

 

※本記事は、実際にあった出来事をベースにしたものですが、登場人物や設定などはプライバシーの観点から入れ替えている部分があります。また、実際の相続の現場は、論点が複雑に入り組むことが多々あり、すべての脈絡を盛り込むことで話の流れがわかりにくくなります。このため、現実に起こった出来事のなかで、見落とされた論点に焦点を当てて一部脚色を加えて記事化しています。

 

井内 義典

株式会社よこはまライフプランニング

代表取締役

 

 

 

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※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

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