(画像はイメージです/PIXTA)

話し方のプロとして経営者に接していると、会社経営の問題が「話し方のクセ」に紐づいているケースをしばしば見かけます。ちょっとした言葉遣いや間合いが、仕事の成約にまで影響を及ぼすことがあるのです。実例を見ていきましょう。※本連載は、株式会社トークナビ代表取締役、樋田かおり氏による著書『社長の伝え方には会社を変える力がある』(青春出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

★ダメな社長の話し方、6つのパターン

声に明暗をつけること、声の使い分けは、比較的改善しやすいお悩みです。声のトレーニングを実践してもらえれば、すぐに効果を実感していただけるはずです。

 

一方、厄介なのが自覚しにくいクセ。ダメな話し方のクセには、こんなものがあります。

 

【ダメな話し方のクセ】

 

できない理由を羅列する、否定語が多い

 

社員の過去の失敗をいつまでもネチネチ言う

 

知識が豊富で、会社の商品をよどみなく説明できる

 

社長が話す準備をしていない

 

咳払い、「えー」を入れてから、喋り出す

 

話を聴くときは、きちんと相づちを打っている

 

いずれも、そのままにしておくと社員のモチベーションを下げてしまいます。

 

実際のエピソードを交えて、⑤と⑥について解説していきます。

「えー、えー」「ゴホ、ゴホゴホ」…聞きづらいことこの上なし

⑤咳払いや「えー」を入れてから、喋り出す

 

話すときに、「えー」が多く、1分間で40回という驚異的なケースも。自分の名前を言ったあとは、ほとんど「えー」になっている。

 

マイクに向かって話し始めるときに「ゴホンッ」「ウオッホンッ!」と、咳払い。年配の男性にとても多い。

 

人前に出て話すのに慣れていない方が話をする際、間を埋めようとして、「えー」と、言ってしまうことがよくあります。

 

これが1回ならまだしも、2回、3回と続き、多い人だと、何十回と出てきます。以前、テレビに出ているコメンテーターの男性で、「えー」という回数がとても多い方がいたので数えてみると、なんと1分間で40回も「えー」と言っていたのです。自分の名前を言ったあとは、ほとんど「えー」を言っていたことになります。

 

これでは、なんのためにコメンテーターとして呼ばれたのかわかりませんし、視聴者は内容が頭に入ってきません。話しているほうは無自覚ですが、聞き手はものすごく気になる言葉でもあります。

 

「社長の話し方をなんとかしてほしい」と、ご相談に来られる秘書や総務の方からも、「うちの社長は、話すときに、『えー』が多いんです。すごく気になるんです」というお悩みはとても多いです。

 

沈黙はムリに埋める必要はありません。

 

話し方のテクニックのひとつに、あえて沈黙をつくって、聴衆の注目を集めることもあります。

 

秘書の方からよく相談されるお悩みには、ほかに「咳払い」もあります。

 

社長がステージに立ち、マイクに向かって、さぁ話し始めるぞというときに、「ゴホンッ」「ウオッホンッ!」と、咳払いするシーンを見たことがないでしょうか。

 

年配の男性にとても多いのですが、これもやはり、聞いているほうはとても気になります。

 

解決法としては、話す前に水を飲んだり、飴を舐めるなど、のどを保湿するのをおすすめしています。それでも改善しない場合は、実際に話しているときの動画をお見せするのも効果的です。

繰り出される「高速相づち」に相手のイライラもMAX

⑥ 話を聴くときは、きちんと相づちを打っているが…

 

食い気味に「はい、はい」と相づち。

 

かぶせるように「はい!」「それで?」「へー!」。

 

「なるほど」

 

「そうなんですね」

 

「すごいですね」

 

相づちは、会話の流れを促す効果を持っています。しかし、相づちの仕方がよくないと、逆効果になってしまうことも。

 

ある30代の起業家Sさんは、とにかくせっかちな性格で早口です。

 

相手が話していても、食い気味に「はい、はい」と相づちを打つので、話しているほうは、急かされているような気持ちになってしまいます。

 

本人としては、早く続きを聞きたいという気持ちの表れなのですが、相手には伝わりません。

 

そんなSさんが、ある人材会社の社長と話す機会をもらいました。Sさんはその社長をとても尊敬していて、会うのをとても楽しみにしていました。

 

しかし、楽しみな気持ちが強すぎるあまり、つい、いつものSさんのクセが出てしまったのです。社長が話すたびに、かぶせるように「はい!」「それで?」「へー!」。興奮状態もあいまって、いつもより、大きな口調になっていたのもよくなかったかもしれません。ついに、社長が「なぜ君は、人が話しているのを邪魔するんだ」と怒り出してしまったのです。

 

興味を持って話を聞いていたつもりが、相手にはまったく伝わっていませんでした。取り繕おうと思っても、後の祭りです。社長の機嫌が戻ることはありませんでした。相づちひとつで、仕事のチャンスも決まるのです。

 

 

樋田 かおり
株式会社 トークナビ 代表取締役

 

※本連載は、株式会社トークナビ代表取締役、樋田かおり氏による著書『社長の伝え方には会社を変える力がある』(青春出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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