(写真はイメージです/PIXTA)

2022年以降の金利上昇によって、アメリカでは変額年金の販売が減少し、代わりに定額年金の販売が急増しました。なかでも第4の年金とも呼ばれる「RILA」は、年々販売量を伸ばしています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏が、新たな年金「RILA」を中心にアメリカの個人年金について分析します。

4―RILAの細部設定

図表4でみたとおり、RILAは従来の年金に比べて、複雑な運用-リターン図を持っている。

 

実は、図表4に示したものは、RILAの代表的な例に過ぎない。商品開発においては、さまざまな細部設定を行って、バリエーションを持たせることができる。簡単に、その内容を見ていこう。

 

1|運用成果を判定するまでの期間は、1年や2~3年、6年とするなど商品によりさまざま

RILAの運用は、一定期間ごとに運用成果を顧客価格に反映して、これを繰り返していく形式をとる。そこで、運用期間を何年にするか、という問題が出てくる。各社の商品をみると、運用期間1年のタイプを用意しているものが多い。

 

そのうえで、2年、3年、6年などの期間で運用するタイプを提供している保険会社もある。

 

2|指数は株価指数を用いるものが中心

資産運用の指数として、代表的な株価指数であるS&P 500や、小型株指数のRussell 2000を用いることが一般的となっている2。このほかに、一部の保険会社の商品では、金地金や不動産をベースとした上場投資信託の価格指数を用いるものもみられる3

 


2 S&P 500に連動する商品は、多くの保険会社で採用されている。

3 SPDR Gold Shares ETFや、iShares U.S. Real Estate ETFに連動する商品を提供している保険会社もある。

 

3|運用不調時の契約者保護として、バッファ方式とフロア方式がある

RILAは、運用が不調な場合には、ある程度、そのしわ寄せが契約者にいく仕組みとなっている。契約者保護の方法として、大きくバッファ方式と、フロア方式がある。

 

(1) バッファ方式

運用成果がマイナスの場合でも、それが一定範囲にとどまる場合は、元本を保証する。一定範囲を超えるマイナスの場合は、一定範囲だけ会社が保証し、超過分は契約者が負担する。

 

たとえば、10%バッファに対して、運用成果が-8%の場合は、元本保証されるため契約者負担はない。一方、運用成果が-18%の場合は、10%を超過した8%分が契約者負担となり、-8%の利回り(資産は92%に目減り)となる。

 

(2) フロア方式

運用が不調の場合でも契約者の負担が際限なく大きくならないよう、契約者の価格に反映する運用成果の下限を設けるもの。運用成果が下限を下回る場合、契約者のマイナスは、下限までにとどめる。

 

たとえば、10%フロアに対して、運用成果が-8%の場合は、フロアに達していないのですべて契約者負担となり、-8%の利回り(資産は92%に目減り)となる。

 

運用成果が-18%の場合は、フロアに達しているため、契約者負担は-10%分だけとなり、-10%の利回り(資産は90%に目減り)で済む。

 

バッファ方式の場合は、10%~30%の範囲内でバッファ水準が設定されることが多い。フロア方式の場合は、10%の範囲内で水準が設けられることが一般的。

 

2010年のRILA登場時はバッファ方式のみであったが、2013年よりフロア方式の導入が始まり、近年は、両方式の導入が拮抗している。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月3日に公開したレポートを転載したものです。

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