給与が上がらない国、日本…アメリカとの「決定的な差」【エコノミストが警鐘】

給与が上がらない国、日本…アメリカとの「決定的な差」【エコノミストが警鐘】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の平均給与はバブル崩壊直後の1992年時点で472万円でしたが、直近は443万円と、30年前から減少しています(国税庁:令和3年分民間給与実態統計調査)。これには、日本独自の雇用の仕組みが関係していると、『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』著者で第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏はいいます。右肩上がりで賃金の上昇が続くアメリカと比較しながらみていきましょう。

企業そのものの新陳代謝も悪い

労働者の流動性の低さは、企業自体の新陳代謝のスピードの遅さにもつながります。

 

株式の時価総額が大きい企業ランキングの顔ぶれを見ると、昭和から続く企業ばかりです。

 

一方、アメリカでは、2022年1月にApple社の時価総額が3兆ドルを超したことでニュースになったように、新興企業が続々と台頭します。Apple社は2000年代後半から急激に伸びてきた企業ですが、それが一気に、イギリスの国家予算を超えるような時価総額を叩き出したのです。

 

こうした環境は、優秀な若者たちにとって「起業」という選択肢を当たり前のものにします。労働市場の流動性も高いので、失敗への恐れも少ないでしょう。

 

そうすると、時代ごとの産業構造に応じた新しい企業が次々と生まれ、企業も産業自体も新陳代謝が活発になる─当然、こんな国では経済も成長しますから、給与も上がっていくわけです。

 

日本の大手企業も、時代に応じて変化しているからこそ続いているのですが、どうしてもアメリカのようなやり方に比べたらスピードは遅くなります。新型コロナワクチンも結局、日本では開発が間に合わず輸入に頼るしかなかったことも、それを証明しているのではないでしょうか。

 

 

永濱 利廣

第一生命経済研究所

首席エコノミスト

 

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※本連載は、永濱利廣氏による著書『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか

日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか

永濱 利廣

講談社

どうして日本の国力は30年以上も低下し続けているのか? 低所得・低物価・低金利・低成長の「4低」=「日本病」に喘ぐニッポンを、気鋭のエコノミストが分析!

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