親子間での「お金の貸借」、契約書は“必要ない”と思っていたが...親の死後に待ち受ける「とんでもない事態」【税理士が解説】

親子間での「お金の貸借」、契約書は“必要ない”と思っていたが...親の死後に待ち受ける「とんでもない事態」【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

借主が貸主から金銭を借り入れ、将来、同じ金額を返すことを約束する「金銭消費貸借」。たとえ親子間の貸借であっても、貸し借りの証拠を書類として残していなければ、相続税申告や残余財産の分配において支障をきたしてしまいます。場合によっては税務調査で指摘を受け、ペナルティを受けることも……。今回は親子間の金銭消費貸借と、役員と法人間の金銭消費貸借に必要な書類について、税理士の伊藤俊一氏による著書『税務署を納得させるエビデンス 決定的証拠の集め方』シリーズ(ぎょうせい)より、同氏が解説します。

「社長(役員)が貸主、法人(オーナー)が借主」で契約する場合

契約書のほか、確定日付が書かれた議事録も作成する

取締役会議事録

(中略)

【議案】
第1号議案 金銭消費貸借契約締結の件(多額の借財(借入)の件)(1)
 議長は〇〇〇〇〇〇〇〇資金が必要であり、〇〇との間で下記及び別紙の条件で、借入れを行いたい旨の提案を行い、その承認を求めたところ出席取締役全員異議なく承認可決した。



借入日:   令和〇年〇〇月〇〇日
借入額:   金〇〇〇〇〇〇〇〇円
返済日:   令和〇年〇〇月〇〇日
利息:    年〇%
損害金:   年〇%
返済方法:  別紙返済計画表を参照のこと

以上

 

(1)

オーナー貸付け(役員借入金)では疎明力が高まります。確定日付があるとなお望ましいです。

 

金銭消費貸借契約書

 

貸主      (甲)、借主〇〇株式会社(乙)とは、甲が乙に対し、乙の営業資金にあてるため、次の通り金銭消費貸借契約を締結した(1)

 

第1条 甲は、乙に対し、金     万円を以下の約定で貸付け、乙は、これを借受け、受領した(2)

 

第2条 乙は、甲に対し、前条の借入金   万円を、令和  年  月から令和  年  月まで毎月  日限り、金   万円を  回の分割で、甲に持参又は甲の指定する銀行口座に送金して支払う。ただし甲乙間の合意をもって1年分後払いも許容される。

 

第3条 本件貸金の利息は、前月支払い後の残金に対する年  パーセントの割合とし、乙は、毎月  日限り当月分を甲方に持参又は送金して支払う。ただし、甲乙間の合意を持って1年後後払いも許容される(3)。(以下略)

 

法人(オーナー)が貸主、社長(役員)が借主のケースは利率の計算が必要

(1)

上記と真逆であるオーナー貸付けについては、

 

・議事録は「できれば」あったほうがよいです。
・金銭消費貸借契約書作成は必要です。

元本返済のみならず利息の計上も必須です。

 

(2)

利率の設定まで神経質になる必要はありません(パチンコ平和事件)。元本:1年後1年分後払い(返済は必須)についてもあまり配慮する必要はありません。

 

(3)

利息:1年後1年分後払いでも問題ありません。

 

利率を考慮するなら適正な利率の決定として、

 

・平均調達金利
・無借金の場合、短期プライムレート以下の金額

 

になります。法人間と同様の設定でも問題ありません。

 

 

伊藤 俊一

税理士

 

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