課長→部長と順調にステップアップしてきたが…〈中間管理職〉で止まる人・〈役員〉に上がる人の違いとは?【エグゼクティブ転職のプロが解説】

課長→部長と順調にステップアップしてきたが…〈中間管理職〉で止まる人・〈役員〉に上がる人の違いとは?【エグゼクティブ転職のプロが解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

経営陣や中間管理職として活躍するマネジメント人材には、現場のプレーヤーとは異なる「力」が求められますが、その中でも、「部長・課長」と「役員」では、求められる力がまた異なるといいます。本稿では株式会社経営者JPの代表取締役・CEOの井上和幸氏が、マネジメント人材に求められる5つの力について解説します。

部長と役員の間にある「非連続的ジャンプ」

部長や課長として「遂行力(やり切る力)」と「リーダーシップ力(まとめる力)」を発揮して活躍してきた人が、そのまま執行役員や取締役へと昇進できるか?

 

実は部長・課長と取締役・執行役員の間にはスムーズに階段をあがるようなわけにはいかない「非連続的ジャンプ」があるのです。

 

それは、「問い」に答えて結果を出す人から、「問い」自体を設定できる人への転換です。取締役やCxO、執行役員には、5つの力の中でもとくに「構想力(描く力)」と「決断力(決める力)」という2つの力を発揮することが期待されます。

 

「構想力(描く力)」とは、自社の事業ビジョンや、個々のサービスの到達点、めざすべき姿をしっかりと描ける力。できる経営者の人たちがよく口にするのは、「頭の中でくっきりと絵を描いて、社員や社外のステークホルダーに説明する」というフレーズです。

 

これは「見えていないものは、成し遂げ得ない」という信念から出てくるものでしょう。

 

広く市場の動きや事業環境に目配りできているか、自分なりのビジョンを創出しているか、ビジョンや構想を戦略や組織に落とし込んでいるか……このあたりをみると、その人が構想力に長けているかどうかが分かります。

 

リーダーというのは毎時間、毎分、毎秒が決断の連続。その決め方にもその人の個性が出ます。一人で決める人、衆知を集め合議する人、さまざまです。

 

ここにその人の「決断力(決める力)」が表れます。

 

決められないトップやリーダーがいると、組織は混乱や停滞に陥ります。向かうべき方向を得られない組織は、迷走するか、動けなくなるかのどちらかです。

 

昭和型の大企業トップに多いのが、決断の段階での「意思決定のたらい回し」です。

 

「あの役員は、どう言っているんだ?」「皆がそれで良いなら」「先に副社長に聞いてみてくれ」といった具合です。

 

「決めない」ということも1つの決定です。しかし、それがどんな災いをもたらすかは、世間を騒がせてきた偽装・粉飾問題や大型倒産などにみてとれます。多くは意思決定の先送りがもたらした悲劇です。また、そもそもの偽装問題や先の粉飾決算の発生自体は「間違った決定」による悲劇です。

 

決断できる人とは、自分のなかに正しい判断基準を明確に持っている人のことです。

 

自らの「決断力(決める力)」を自己評価するには、「事業や経営での意思決定に主体的に参画しているか」「多様な意見・利害関係の中でも最適な判断をすべく動いているか」を自問自答してみるのが有効でしょう。

 

経営陣(「経営人材」)として優れた成果をあげている人たちに共通していることは、「遂行力(やり切る力)」と「リーダーシップ力(まとめる力)」の2つの力をいかんなく発揮できることに加えて、「構想力(描く力)」と「決断力(決める力)」の質と量とスピードが抜群に優れていることです。

 

日本人の経営者でも、グローバルで注目の経営者でも、パッと名前を思いつく「名経営者」は皆、これに当てはまると思いませんか。

優れたマネジメント人材が持つ「もう一つの力」

最後にもう1つ、これからを勝ち抜くマネジメント人材、とりわけ役員候補人材は、「学習力・習慣化力(学び続ける力)」を持つ人が選抜されることになります。

 

いわゆるリスキリング(学び直し)力のあるリーダーなのかどうか、望ましい経営行動を習慣的にとれる人なのかどうか。ここが問われます。

 

組織エンゲージメント、SDGs(国連の持続可能な開発目標)的観点も非常に重要視される昨今、その体現者としての価値観・倫理観を持つ人が役員として適任とされるようになっているのです。

 

そもそもどのような仕事、事業、組織、経営にも、これで終わりという完成形はありません。時代ごとに変化や対応を求められます。なにがしかの責任を負う立場のリーダーであれば、「日々是勉強」を生涯、自らに課すことになります。

 

おごらず、過去の成功に縛られず、あらゆる事象や世代から学び続ける力が求められます。いわれたことだけをやるのであれば、勉強は不要かもしれませんが、それでは人工知能(AI)に駆逐されてしまうでしょう。

 

さらには優れたリーダーの共通項として、自分の専門性や経験を「方法記憶化」(無意識的に再現できるレベルまで記憶化すること)するまで徹底的に繰り返し反復する、「習慣化力」を持っていることが挙げられます。

 

できる経営者は、事業においてもプライベートにおいても、自分はまったく苦に思っていないのに、周囲から見ると「えーっ、そんなことを、そんなにやっているんですか」という驚きの習慣をいくつか持っていることが多いです。

 

あなたにとって、一般的には努力や忍耐を要すると思われるようなことで、自分はまったく苦にならないことはなんでしょう。ぜひチェックしてみてください。

 

これから役員に起用されることをめざす人には、ぜひとも5つの力を棚卸しして、強化を図ってほしいと思います。

 

とくに「構想力(描く力)」と「決断力(決める力)」、「学習力・習慣化力(学び続ける力)」について揺るぎない自信を持ち実行できることをめざしてください。そうすれば、早晩、「ぜひ君を役員に抜擢したい」という声が、社内外からかかること間違いありません。

 

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