中国当局の呆れた言い分「自国リスク記述は抑制せよ」
7月下旬には、中国証券当局が法律事務所などに対し、企業の上場目論見書に中国の政策やビジネス、法的環境について否定的な記述を含めないように求めたという。金融業界ではリスク提示は当たり前。ただ、当局の言い分は「自国リスク記述は抑制せよ」。どうやらディスクロージャーの概念がかなり異なるらしい。
統計面でも不思議なことがあった。浙江省が発表した今年1~3月の火葬遺体数が、公開後すぐに削除されてしまったという。その内容は「火葬遺体数が前年同期の約2倍となった」というもの。「新型コロナの感染爆発が要因ではないか」「死者数が最多になったから公開できないのではないか」などの見方も広まっていた。
事実は事実。それを直視できない何か都合が悪いことでもあったのだろうか。民政部が3ヵ月に一度発表していた火葬遺体数も、昨年10月以降は更新が止まっている。
これらを受け、「だから中国は……」と短絡的な結論を出すつもりは毛頭ない。言いたいのは、「ところ変われば事情も変わる」ということ。
事の良し悪しは別にして、一筋縄では行かないのが中国。現状では「中国はこういうものだ」と大局的に捉えていくしかないだろう。
「日本がこうだから中国も同じはず」という妄想や勘違いも捨て去るのが賢明。みんな違って、みんないい。もちろん好き嫌いはあるけれど。
くだんの外相の解任発表後、ネットのコメント欄やSNSは「国と党を支持します!」「新外相ガンバレ!」的な正能量(ポジティブエネルギー)系の投稿で埋め尽くされた。
一方、NHK海外放送のニュース番組は、解任を報じる際に画面が切り替わり、カラーバーのみとなった。お約束の当局検閲。報じてほしくない一件らしい。実に分かりやすい。
奥山 要一郎
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
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