(※写真はイメージです/PIXTA)

生前に被相続人から特定の相続人が受けた利益、「特別受益」についてご存じでしょうか? 特別受益をめぐって、他の相続人とトラブルになるケースは多くあります。今回は、その「特別受益」にまつわるトラブル等について詳しく解説していきます。

実際にあった特別受益に関する2つの判例

被相続人が特別受益の持ち戻し免除をしていたか否か、を争点とする判例も数多く存在します。

 

持ち戻しとは、特別受益によって得た金額と相続財産の金額を合算する方法です。相続財産の金額を合算後、特別受益のあった相続人は持ち戻し分が減額された遺産を取得します。

 

一方、持ち戻し免除とは、被相続人が「持ち戻す必要はない」という意思表示を、明示的あるいは黙示的に表明していたら、持ち戻し計算をしなくて良いという制度です。

 

ここでは生計の資本となる贈与に関して、持ち戻し免除が認められた判例、認められなかった判例を紹介します。

持ち戻し免除が認められた判例

被相続人は、都心で一人暮らしをしていた相続人Aに、合計250万円(約2年間で4回)を送金し、他の相続人がその分を特別受益として持ち戻すよう、主張した事案です(平成15年8月8日神戸家庭裁判所伊丹支部審判)。

 

【審判】

被相続人が送金した金額や時期から、一人暮らしのAの生活を心配し、生計の資金となるよう贈与したものとみるのが相当として、持ち戻し免除の「黙示」の意思表示を肯定しました。

 

【裁判所の判断について】

裁判所は、たとえ被相続人が遺言書に持ち戻し免除を明記する等、明示的な意思表示をしていなくとも、黙示(暗黙)の意思表示を認める場合があります。

 

例えば自立した生活の難しい相続人へ贈与がなされたならば、被相続人の黙示の意思表示が認められやすいといわれています。

持ち戻し免除が認められなかった判例

相続人Bに生前贈与された不動産は特別受益であり、他の相続人がその分を特別受益として持ち戻すよう、主張した事案です。これに対し、相続人Bは被相続人の黙示の持ち戻しの免除があったと主張しました(平成25年7月26日大阪高等裁判所決定)。

 

【決定】

裁判所は持ち戻し免除が認められるには、生前贈与の場合と比較して、より明確な意思表示の存在が認められなければいけないと判示しています。

 

そして、被相続人が作成した遺言書で持ち戻し免除について何ら触れられておらず、また特別受益不動産の価額の割合が遺産全体の4割を占めており、黙示の持ち戻しの免除は認められないと判断しました。

 

【裁判所の判断について】

相続人Bが生前に贈与された不動産は、被相続人の財産のほとんどを占めています。

 

事案の内容が

 

・免除を認めてしまうと他の相続人へ不公平な財産分与となる可能性が高い

 

・困窮する相続人のために生活保障として贈与等がなされたわけではない

 

・遺言書で持ち戻し免除が明記されていない

 

という場合、黙示の持ち戻しの免除はなかなか認められないと考えられます。

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