(※写真はイメージです/PIXTA)

「老老介護」や「遠距離介護」の問題が深刻な日本。家庭内で介護を完結させることは至難の業です。ただ、有料老人ホームなどの施設を頼ろうにも、介護に必要な期間や費用が分からないという理由から、利用を避けている人は少なくありません。そこで、両親の介護を施設に頼ったedamameさん(仮名・61歳)とチーザさん(仮名・61歳)の「介護体験談」をみていきましょう。※本記事は、上大岡トメ氏による著書『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』(主婦の友社)より一部を抜粋・再編集したものです。本記事内の情報は、2021年4月時点のデータに基づいています。

7年の遠距離介護も「ひとりっ子でよかった」

【チーザさん(61歳)】

東京都在住。両親は神戸市在住。2014年から2人が交代で入院するようになり、遠距離介護が始まる。父は3年前89歳で他界。母は90歳で元気。現在はマンション型の小規模多機能型居宅介護を利用している。

 

介護7年。頼れる人はいない

両親の衰えが目立つようになったのは、入院がきっかけだった。父は脳梗塞、母は骨折。 2014年から交代で入退院を繰り返した。そのころから月1~2回、東京から片道5時間かけて東京と実家を往復している。

 

3年前に父が他界し、母は現在、小規模多機能型居宅介護施設を利用しているが、私は7年間ずっと(コロナ禍で帰れないときもあったが)母のもとに通いつづけている。

 

私はひとりっ子で、父は転勤族。神戸の実家の近くには親戚もいないし、頼れる人もいない。そのぶん誰に相談することもなく決めることができるのはラクだと思っている。親のお金はすべて、介護が始まった7年前から私が管理している。

 

ただ、父が入院したとき「延命しますか?」「胃ろうはつけますか?」と聞かれ、親の命の時間まで私が決めるのだという事実には衝撃を受けた。そのころから「やるのは私だ」という覚悟が生まれたと思う。

 

お姫さまの母を父にかわって守る

母は若いころモデルだった。その美貌を見初めた新聞記者の父が追いかけ回して結婚し、私が生まれた。残念ながら私は父似だ(笑)。父は生涯を通して、ひたすら母を大切にした。段ボール箱ひとつ、母にはつぶさせなかった。

 

そんな生活だったので、父亡きいまも母は何の躊躇もなくお金を使う。毎日タクシーで1,000円程度の買い物をする。母には認知症はないが記憶力は低下しているから、同じものばかり買っている。タクシー代を合わせると月10万円だ。泣ける。

 

さらに施設に月30万円、私の交通費に5万~10万円。母はお金の出どころなど考えたこともないはずだ。なんとかなっているのは、父の遺族年金が多額であり、私もまだ現役で毎月ちゃんと収入があるからだ。

 

お金はかかるが、グチはない

介護にはお金がかかる。逆に言えば、お金があればなんとかなる。病院の付き添いも、食事の世話も、見守りも、お金で解決できるからなんとかなっている。しかも、私はお金の使い方を誰かに意見されることがない。

 

周囲の介護している人にはグチが多い。大半は、きょうだいや親戚に関するものだ。そう思うと、私はひとりっ子でよかった。私にはグチがない。グチを言う必要もない。

 

父の遺骨はいま家にある。お墓は遠く、不便な場所にあり、母を連れていくことはできないから。母が亡くなったら2人の遺骨の一部をペンダントに入れて生活し、私が亡くなったら一緒に燃やしてもらって全員終わり。それでいいんじゃないかと、いまは思っている。

 

 

上大岡 トメ

イラストレーター

 

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※本連載は、上大岡トメ氏による著書『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』(主婦の友社)より一部を抜粋・再編集したものです。

マンガで解決 親の介護とお金が不安です

マンガで解決 親の介護とお金が不安です

著者:上大岡 トメ
監修:黒田 尚子

主婦の友社

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