(※写真はイメージです/PIXTA)

商品のブランド戦略において、上層部だけが内容を理解し、現場社員に浸透しておらず失敗するケースは少なくありません。こうした失敗に陥ってしまうのには、根本的な原因があると、株式会社 YRK andのブランディングクリエイティブディレクター・二宮康朗氏はいいます。いったいどんな原因でしょうか? みていきます。

強いブランドを構築するためのプロセス

では、どんなプロセスを踏むのか? ここでは非常にシンプルな手法を例にあげて紹介したいと思います。

 

まずは、ブランドに携わる複数部署の方数名に参加いただき、第三者(外部の相談相手など)を含めたワークショップやディスカッション形式で、下記の順番で合意を取りながら進めます。

 

  1. ターゲットの設定
  2. 価値抽出
  3. プロトタイピング

 

通常このような進行の場合「勉強会」のように捉えている方が多いのですが、なによりも「楽しみながら考える」ということを優先すべきです。

 

いつもと場所を変えてみる、面白おかしく自己紹介をする、合間にチームで行うゲームを挟むなど、一見関係の無いことのように思えますが、場作りをするうえで非常に重要なポイントであり、結果、与えられるのではなく、自ら積極的に楽しんで参加する姿勢を作ることができます。

 

1.ターゲットの設定

「どんな人にブランドを好きになってもらいたいか?」をまずは明確にします。年齢はもちろん、家族構成、趣味嗜好、暮らしの様子。場合によっては雑誌を切り取って可視化し、積極的に意見を出し合いながらターゲットを具体的にしていきます。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム
[図表2]ターゲットの設定 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム

 

2.価値抽出

そのブランドの価値はなんなのか、徹底的に議論します。「機能的価値」は?「情緒的価値」は?――この議論での最も大切なことは「ターゲットが共感する価値」をメンバー全員で見つけることです。第三者の立場も参加しながら意見を発散し、徐々に価値を絞り込んでいきます。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム
[図表3]価値抽出 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム

 

1と2で重要なポイントは、決まっていく内容を、図にしたり、言葉にしたり、絵にしたりと、随時「可視化」すること。

 

文字だけの「議事録」では、後々誰も見なかったり、前回どんなディスカッションをしたか覚えていないことが多くなりがちですが、決まった内容を、図や言葉や絵に外部の相談相手が「可視化」することで、誰もが瞬時に理解でき、齟齬が生まれにくい状況を作ることが可能です。これはブランドに関わる皆さんの共通認識を作るうえで、非常に重要なポイントです。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム
[図表4]価値の可視化 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム

 

3.プロトタイピング

ここが非常に重要なポイントで、2で抽出した価値を「可能な限りシンプル」に可視化します。「一言にする」「象徴的なマークにする」「ステートメントを作る」「写真で佇まいを見せる」など、さまざまな手法があります。

 

なぜシンプルにする必要があるのか?――それはそのブランドが自分たちから離れても、なにも知らない部外者へ確実に伝わらなければならないからです。「伝わる」ということは伝言ゲームと同じです。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム
[図表5]プロトタイピング 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム

強いブランドは、常に「シンプル」

たとえば、上司から部下へ、メーカーから顧客への情報伝達は、内容が複雑であればあるほど、違った伝わり方をします。シンプルであれば、伝わり方に不純物が入りにくくなり、ストレートに伝わっていきます。どんなにいい価値が抽出できたとしても伝わらなければまったく意味がありません。

 

相手企業や生活者に想いを届けることは勿論、まずは組織内のメンバー全員が同じ想いを持って同じ方向へ進めるように想いをわかりやすい形に(シンプルに)することで初めて出発点に立てるのです。

 

最近お手伝いさせていただいた、あるナショナルクライアントのサステナブルブランドの構築プロジェクトにおいても、プロジェクトのなかで感動を作ることができた結果、商談を始めてすぐに多くの反応があり、全国規模のショップ展開が決定。さらに、いまも大手各社から問合せがある状況を作ることができました。

 

これは、「シンプルに価値が伝わった」ことにより、うまく共通認識を作れ、それによりブランド関係者のモチベーションアップに繋がったことが要因のひとつです。

 

社内でブランド価値の共通認識が作れると、その後のサプライチェーン「メーカー→卸→流通(販売店)→顧客」のなかに存在する商談(接客)コミュニケーションも、不純物が入らないストレートな伝わり方が可能となります。

 

 

二宮 康朗

株式会社 YRK and

Brand Creative Unit/ブランドクリエイティブディレクター

 

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