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土地、家を所有する親が亡くなってしまった場合、その不動産をどのよう相続するか、兄弟間で揉めてしまうケースがあります。本稿では、司法書士法人みどり法務事務所代表司法書士である寺島能史氏監修のもと、土地の相続時によくある、兄弟間における揉めごとの原因やその対策について解説します。

土地相続でよくある兄弟トラブル事例

続いて、土地相続の場面でよくある兄弟間のトラブルの事例を紹介します。

 

兄弟間で平等に分けられない遺産しかなかった

遺産が土地だけなど、兄弟間で平等に分割するのが難しい遺産しかない場合、どのよう世にそれを相続するかで揉めてしまい、トラブルになります。

 

分割が難しい相続財産のみだと、どうしても兄弟の一方のみが得をする結果になりやすいです。このようなケースの対策として、土地を現金に変える・土地を相続した方が他方に現金を払うなどいくつかの分割方法がありますが、それらについては次項で詳しく説明します。

 

兄弟から相続放棄を求められた

兄弟の一人が、自分一人で親の介護を行ってきたため、自分だけが土地を相続すると主張してほかの兄弟に相続放棄を求めた結果、対応を巡ってトラブルになることがあります。

 

相続放棄とは、相続人が家庭裁判所で相続を放棄する意思を示すことです。これにより財産を相続する権利をすべて失い、ほかの相続人の相続割合が増えることになります。

 

相続放棄をするかどうかは相続人自身が決めることで強制はできないため、兄弟から相続放棄を求められてもすぐに決めるのではなく、十分に検討をしてください。

 

ただし、相続放棄は、相続が発生してから3ヵ月以内に行う必要があります。話し合いがもつれてこの期間内に結論を出すのが難しいのであれば、家庭裁判所に期間の伸長を求めるとよいでしょう。

 

遺言の内容に偏りがあった

相続財産の多くを土地が占める事例で遺言書が残されていたが、特定の兄弟にのみ土地を相続させる内容であった場合、他の兄弟の不公平感からトラブルになります。

 

このようなトラブルを避けるには、偏りがないように遺言書を作成するのが一番ですが、すでに相続が発生したあとであれば遺留分侵害請求で調整することになります。

 

遺留分とは、一定範囲の相続人に認められている最低限の相続財産の割合です。遺言の内容が、この遺留分を侵害するほどのものであれば、多くの財産を受けた兄弟に対し遺留分の限度で金銭の支払いを求めることが可能です。

相続した土地を兄弟で分ける5つの方法

土地のように分割が難しい相続財産であっても、複数の分割手段があります。

 

1.現物分割

土地がひとつであっても、その土地を分筆すれば兄弟間で分割して相続することができます。分筆とは、一つの土地を複数に分ける手続きです。

 

ただし、土地の大きさや立地によっては、土地を分筆することによって価値が下がることがあるため、兄弟間で完全に公平に分けることは難しいといえます。

 

土地を分筆する場合は十分に検討が必要でしょう。

 

2.代償分割

兄弟の一人が土地を相続し、代わりに他の兄弟に現金を支払う方法です。

 

たとえば、兄弟が二人で相続財産が3,000万円の土地のみの場合、兄が土地を単独で相続する代わりに、兄が弟に1,500万円を支払います。

 

この方法は、土地をそのまま活用でき、兄弟間の公平を保てますが、土地を相続する側に資産が必要となります。

 

3.換価分割

土地を売却して得られた金銭を分ける方法です。現金であれば公平に分割することができるため、兄弟間の公平が保てます。

 

しかし、土地を売却することが前提となる以上、土地自体にある程度の価値は必要でしょう。

 

また、換価分割では相続人全員の同意が必要であるため、先祖代々の土地であれば、そこに住み続けたいという思いから納得がいかない兄弟が出てくる可能性があり、このようなケースでは手続きが困難になります。

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