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現金や預金を相続する場合は、納税資金としてそのまま使えますが、「土地の相続」で相続税がかかる場合は、納税資金を別途用意しなければならず、大きな金額の支払いに困ることがあります。仮にお金を準備できず税金が払えない場合でも、納税の期限は原則として延長されません。本連載は、司法書士法人みどり法務事務所が運営するコラム『スマそう−相続登記−』から一部編集してお届け。この記事では、土地の相続税を払えないときの対処法を5つ紹介します。

2.物納によって現金ではなく現物で払う

延納によっても金銭で納付することが困難な場合、相続財産によって相続税を払う「物納」が認められる場合があります。物納が認められるための主な条件は以下のとおりです。

 

・延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があること

・物納申請財産は相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産であること

・相続税の申告期限までに物納申請書に物納手続関係書類を添付して提出していること

 

物納できる財産は相続財産であり、相続人が元々所有している自分の財産を物納することはできません。また、物納できる財産の種類や順番には制限があります。物納する財産を相続人が自由に選べるわけではありません。

 

物納する際の財産の評価額が「相続税を計算する際の価格」である点にも注意が必要です。遺産に含まれる土地の売却価格が相続税評価額よりも高い場合、相続税評価額で物納するよりも売却して現金で納付するほうが良いことがあります。

3.遺産を売却して得た現金で相続税を納付する

遺産に含まれる不動産を売却して現金化すれば、それで相続税を納付できます。土地や建物を手放しても良い場合は、売却することも選択肢のひとつです。

 

ただし、土地を売りたくてもすぐに買い手が見つからない場合があるので、相続税の申告期限までに現金化を完了できるように早めに対応する必要があります。土地の立地条件によっては買い手が見つからないので、必ず売却できるとは限りません。

 

4.金融機関からお金を借りて納税資金として使う

金融機関からお金を借りて相続税の支払いに充てられれば、物納する場合や遺産を売却する場合と違って財産を手放さずに済みます。

 

ただし、お金を借りるためには審査に通る必要があり、審査に落ちる場合もあるので誰でも融資を受けられるわけではありません。

 

また、利息の負担が増える点もデメリットです。実際にお金を借りる場合は、返済計画を立てて無理なく返済できるか確認する必要があります。また、延納と金融機関からの借入れの両方が可能であれば、両者の利息を比べて負担が軽いほうを選ぶようにしましょう。

 

5.相続放棄して相続税がかからないようにする

相続した土地の使い道がなくて手放しても良い場合は、相続放棄を選択することもできます。相続放棄とは遺産の相続権を放棄して一切の遺産を相続しないことで、相続の開始を知ってから3ヵ月以内に裁判所で手続きが必要です。

 

ただし、相続放棄をすると土地以外の財産も含めた全遺産を相続できなくなるので、遺産の中に相続したい財産がある場合は他の方法を検討することになります。

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