就任から1年「フィリピン・マルコス大統領」各方面から平凡な評価の理由

7月10日週「最新・フィリピン」ニュース

就任から1年「フィリピン・マルコス大統領」各方面から平凡な評価の理由
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今回は、マルコス大統領の就任一年目の評価を見ながら、実際のフィリピン経済の世界における位置付けについてみていきます。

世界にみるフィリピンの経済的ポジション

2022年、世界銀行のデータによれば、フィリピンのGNI*は、2021年の3,550ドルから2022年には11.3%増加して3,950ドルとなりました。この増加にもかかわらず、フィリピンのGNIは依然として世界銀行の低中所得経済国の所得範囲である1,136ドルから4,465ドルに含まれています。この所得範囲は、1年前の1,086ドルから4,255ドルに引き上げられたものです。世界銀行から入手可能な最も古いデータに基づくと、フィリピンは1987年以来、低中所得経済国として分類されてます。

 

*GNI=Gross National Income「国民総所得」のこと。国内で1年間に生み出されたモノやサービスの金額の合計である国内総生産(GDP)に、自国企業などの海外でのもうけや、外国株式・債券への投資による配当・金利収入などを加えた指標。企業の国際展開が急速に進む中、国内だけでなく海外を含む経済活動の大きさが分かるとして活用されるケースが増えています。

 

東南アジアでは、高所得経済国が、シンガポール(1人当たり67,200ドル)やブルネイ(31,410ドル)、その後を、中所得経済国、マレーシア(11,780ドル)、タイ(7,230ドル)、インドネシア(4,580ドル)が続きます。フィリピン政府は2025年までに中所得経済国から上位中所得経済国になることを目指していますが、力強いGDP経済成長がフィリピンを上位中所得経済国に持ち上げると考えられます。

 

フィリピンの国内総生産(GDP)成長率は2023年以降、GDPの基盤が安定化することで、アジアで最も成長が高い経済の一つとして、6%程度が正常化する可能性があります。政府は今年のGDP成長目標を6〜7%としており、2022年の7.6%の成長率からは鈍化する見込みです。

 

2023年第1四半期の経済成長率は6.4%であり、四半期末の修正済み7.1%や2022年第1四半期の8%からは鈍化しました。海外で働くフィリピン人(OFW)からの堅調な送金、低い失業率、マルコス大統領のBBM(Build Better More)政策による交通インフラ投資の加速、観光の回復が、貧困の削減と国の中所得化の実現に役立つでしょう。実際2023年5月には、世界銀行は、フィリピンは継続的な回復と改革により、上位中所得国への道を歩んでいると述べました。

 

世界銀行の最新のアップデートでは、8つの国の所得分類を変更しました。2022年には、ガイアナとアメリカ領サモアが高所得国に移行し、インドネシア、エルサルバドル、ウエストバンク&ガザが上位中所得国に昇格しました。そして、ギニアとザンビアが低中所得経済国に加わりました。唯一ヨルダンだけが、上位中所得経済国の地位から低中所得経済国に降格されました。


世界銀行は、予想通り、2022年に所得カテゴリを変更した国のほぼすべてが上位カテゴリに移行し、2019年のレベルと比べて約80%の国が1人当たりGNIを改善したとしています。フィリピン統計局の最新データによると、フィリピンのGNIは2023年第1四半期に9.9%増加。1年前の+10.5%よりわずかに低く、前四半期の+9.3%よりは高い数字となっています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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