写真提供:一級建築士事務所MUK 写真:西 恭利

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは「太陽光発電」。最近、高性能な住まいとセットに語られることが多くなっていますが、実際はどうなのでしょうか。住まいづくりのプロによる解説です。

太陽光で給湯するエコキュートがお勧め

「自家消費量の向上」には、たとえば、洗濯やアイロンがけ等の家事をなるべく昼間に行うことが有効です。しかしながら昼間に働く女性が増えていますから、それは必ずしも簡単なことではないかもしれません。

 

そのような中で、最も有効で手軽なのが、エコキュートの活用です。エコキュートは、もともとは原子力発電により余っていた深夜電力を有効に活用するために、夜間にお湯を沸かして貯湯しておくものでした。原発が止まり、太陽光発電の普及が進む中で、昼間に太陽光発電でお湯を沸かし貯湯できる機種が増えています。「ソーラーチャージ」や「おひさまエコキュート」等、メーカーにより名称は異なりますが、基本的な考え方は同じです。これらは、売電価格等のエネルギーコストが上がっている中で、手軽に自家消費率を上げることができるコストパフォーマンスのいい投資です。

災害時の備えとしての太陽光発電

災害時等、停電に見舞われた場合に太陽光発電システムがあると安心です。ただ、通常の太陽光のシステムの場合、発電した電力を家中の各コンセントで使用できるわけではありません。一般的なパワーコンディショナーには、自立運転用のコンセントが備えられており、太陽光が発電している状況ならば、そのコンセントから通常は1,500Wまでの電力を使用することが可能です。

 

ただし、停電するとパワーコンディショナーも機能が停止するため、「自立運転モード」への切り替えが必要になります。普段から「自立運転モード」への切り替えの仕方を把握しておいて方がいいでしょう。

 

また使用したい家電がパワーコンディショナーから離れている場合のために、長めの延長コードも用意しておくべきでしょう。

停電に万全に備えるならばどうするべきか?

このように、一般的な太陽光発電システムのみの場合は、パワーコンディショナーについている自立運転用のコンセントだけしか使うことができませんし、それも太陽光が発電している時に限定されます。

 

停電が数日にわたるような状況で、夜間も含めて多くの家電を使用したいのならば、蓄電池の導入を検討してもいいでしょう。現時点では、蓄電池はまだ高価であるため、太陽光発電の電力を夜間も使用して自家消費率を高めるということだけで考えると、経済的にはペイしないようです。ただ、それに加えて防災のための備えとして考えるのであれば、検討する価値はあるでしょう。

 

同様に、V2H(Vehicle to Home)(図表3)というEV(電気自動車)から住宅に電力を供給するシステムの導入も有効です。太陽光発電からEVに充電するだけならば、充電用のコンセントを設けるだけでもいいので、それほど導入コストはかかりません。ところが、V2Hの場合は、EVからの直流を住宅で使用する交流に変換することが必要なのでシステムの費用はかなり高価です。蓄電池と同様、自家消費率の向上という観点ではまだペイはしないため、防災のための備えを考慮した上での判断ということになるでしょう。

 

 

V2Hまでは必要ないが、停電時に生活に必要な最低限の電力は使用したいという人には、停電時にEV等からあらかじめ設計した5系統に給電できる比較的廉価なシステムもあります。このシステムならば、冷蔵庫や照明等、生活に必要な最低限の電力が使用できるため、太陽光発電システムを防災用のシステムとして機能させるのに有効です。

 

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