(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナショックをきっかけに一気に普及したテレワークで、企業による従業員の就業時間管理は難しくなっています。その結果、企業は従業員の「成果」のみを判断基準として人事評価を下さざるを得なくなり、生産性の低い従業員は苦境に立たされることになるでしょう。本稿では、平康慶浩氏の著書『給与クライシス』(日経BP日本経済新聞出版本部)から一部を抜粋し、日本にも確実にやってくるという「目に見える成果」だけが評価される社会について解説します。

テレワークでは働く姿が見えないから、かいた汗も見えなくなる

 

しかしそれぞれの場所、それぞれの時間で働くようになると、どれだけ時間をかけているかは見えづらくなる。その一方、どんな成果が出ているのかは誰にでも見える。結果として、優秀な従業員の成果は高く評価され、普通の従業員はそこそこの評価に落ち着くことになる。

 

よって、ごく当たり前のように、脱時間給化が進むことになるのだ。

 

仮に、作業に手間取って仕事が長引いたとしよう。その理由が自分の勉強不足だったとしても、会社で働いていれば頑張っているように見える。しかしテレワークの状態では、その頑張りが見えず、単に長時間残業をしているという数字だけが残る。

 

その際に、作業に時間がかかったから、という理由を告げたところで「普通の人はこれくらいの時間で終わるはず」という標準形と比較されてしまうので、勉強不足が露呈してしまうことになる。それでも残業制度のもとでは残業代が支払われるだろうが、高い評価にはつながらなくなるのだ。

 

年功主義と生活給、時間給という概念があいまって、漠然とした中への期待に対する給与だという考え方もできる。仲間だから、仮に今多少仕事ぶりが悪くても生活は同じだけ保障すべきだ。

 

仮に他の人たちよりも成果を出せたとしても、分かち合うべきだ。過去の貢献があり、将来の期待がある。だからあたかも田畑でとれた農作物を皆で分け合うように、メンバーとして分け合うことを前提に給与の仕組みが設計され運用されてきた。

 

しかし脱メンバーシップ型の仕組みにおいては、過去の貢献も将来の期待も反映せず、今どれだけ成果を出したのか、ということを見るようになる。雇用も時価で取引されるようになるのだ。

 

そのような変化は確実に来る。

 

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給与クライシス

給与クライシス

平康 慶浩

日経BP日本経済新聞出版本部

同じ仕事をしている限り、給与は「ずっとそのまま」の時代!? これからやってくる”ジョブ型”時代を僕たちはどう生きるか―― ”そうはいっても、日本はまだまだ年功序列でしょ? ” ”なんだかんだ言って終身雇用は続く…

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