銀行員「残念ですが、対応できません」…父の葬式代120万円が必要な48歳・息子、銀行の対応に激昂「血も涙もないのか」【司法書士が解説】

銀行員「残念ですが、対応できません」…父の葬式代120万円が必要な48歳・息子、銀行の対応に激昂「血も涙もないのか」【司法書士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

町工場の2代目であるAさん(48歳)。先代であり父親のBさんを亡くし、父親名義の口座から葬儀費用を引き出そうとしたところ、窓口の銀行員に「残念ですが、今回のお引き出しは対応いたしかねます」と言われてしまいました。いったいなぜなのでしょうか。司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏が具体例をもとに、相続発生時、緊急費用を引き出せるようにするためのポイントについて解説します。

Aさんが葬儀費用の引き出しを断られてしまったワケ

Aさんのように、銀行に行き「身内が亡くなったので葬儀費用を捻出したい」という相談をしたところ口座が凍結されてしまったというケースは、実務上よくある話です。では、いったいなにが問題なのでしょうか。

 

銀行は、口座名義人の死亡を知った場合、ただちにその方の口座を凍結しなければならないとされています。Aさんの事例においても、銀行員は名義人の死亡を知ったため、残念ながら口座を凍結しなければいけないという判断に至ったのでしょう。

 

いちど口座が凍結されると、基本的に遺産分割協議の成立まで(=遺産分割が確定するまで)は遺族による払い出しが一切できなくなります。現金の引き出しができないだけではなく、公共料金の引き落とし等もできません。

 

銀行員が名義人の死亡を知るのは、今回のケースのように「遺族から連絡があった(知らされた)」という場合がほとんどです。

 

亡くなったことを言わずに引き出せばよかったのか?

銀行がすぐに口座を凍結するのには、下記の2つの理由があります。

 

1.相続財産確定のため

2.揉めごとを防ぐため

 

亡くなった方の預貯金というのは、民法で定められた相続人全員の共有財産となります。したがって、銀行としては被相続人が死亡した時点での預金残高を確定する必要があるわけです。

 

また、ただちに口座を凍結しなければ、親族が故人の口座から勝手に預貯金を引き出す場合があり、他の相続人とのトラブルに発展する可能性が高まります。この2つの観点から、銀行は口座名義人が亡くなったことを知ると、すぐに口座を止めるという運用をしているのです。

 

では、Aさんの場合、行員に用途を尋ねられた際に「父(口座名義人)が亡くなった」ということを言わずに引き出せばよかったのでしょうか。

 

これは「なんともいえない」というのが正直なところです。実際に、名義人が亡くなったことを言わずに引き出したとしても、「親族相盗例」により横領罪等の罪に問われる可能性は低いです。

 

しかし、罪に問われないとはいえ、のちに他の相続人とのあいだでトラブルに発展する可能性が非常に高いです。したがって、葬儀費用等の緊急費用を捻出できるようにするためには、

 

・預貯金の引き出しは必要最低限にとどめる
・生前に葬儀費用分だけ先払いしておく
・相続人全員であらかじめ合意をとっておく
・生命保険金を活用する等し、凍結されることのないお金を準備しておく

 

といった対策をとることが重要です。

 

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