(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、FRBによる6月利上げ観測が再燃したことにより、年初来の円安を更新する動きをみせました。保合い相場から上放れたことにより、このまま1ドル140円の大台に乗せる可能性はあるのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

今週の注目点…米6月利上げの有無は?

今週は、26日にFRB(米連邦準備制度理事会)が重視するインフレ指標とされるPCEデフレータの発表が予定されています。一時は見送りと見られていた6月の米利上げについて、改めて利上げ予想が再燃したことから、PCEデフレータの結果は、早期利下げ予想是正に伴う金利上昇が一段と広がるかについて影響することになりそうです。

 

では、かりに6月FOMC利上げ予想が一段と強まった場合、米金利上昇を手掛かりに米ドル/円は140円を大きく超えていくでしょうか。

 

米ドル/円は2022年10月に151円まで上昇するなかでサポートされてきた120日MA(移動平均線)を、その後一時127円まで急落するなかで大きく割り込みました(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]米ドル/円と120日MA(2010年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

上昇トレンドが展開するなかではなかったこのような現象が起こったということは、トレンド自体が下落(米ドル安・円高)へ転換した可能性を示しています。そうであれば、トレンドと逆行する上昇はあくまで一時的な動きである可能性が高いでしょう。

 

図表7は米ドル/円の120日MAかい離率ですが、これを見るとトレンドと逆行する動きは最大でも120日MA±5%程度までとなっていました。足元の120日MAは133.4円程度なので、それを5%上回る水準は140円程度といった計算になります。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表7]米ドル/円の120日MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上からすると、米ドル/円のトレンドと逆行する一時的な上昇は、140円を越えてくると行き過ぎ懸念が強まるのではないでしょうか。

 

米金利の保合い上放れ、米ドル/円の年初来高値更新で、米金利、米ドルともに、テクニカルには上昇余地を探る展開が続きそうで、最大の注目テーマは6月FOMCでの利上げの有無になりそうです。

 

ただし、140円を上回るようなら、徐々に行き過ぎ懸念が強まる可能性があるのではないでしょうか。以上を踏まえると、今週の米ドル/円は136~141円中心での展開を想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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