日本にある「世界最古の企業」が1,400年以上も続いてきた理由…代々受け継がれる「後継者の条件」とは【経済ジャーナリストの分析】

日本にある「世界最古の企業」が1,400年以上も続いてきた理由…代々受け継がれる「後継者の条件」とは【経済ジャーナリストの分析】
(※写真はイメージです/PIXTA)

中小企業や名前の知られていない中堅企業にも良い会社はたくさんあります。 その見分け方がわかれば、転職等のキャリア形成、営業先の開拓、投資の是非の判断といったあらゆる局面で役立ちます。本記事では東洋経済新報社で編集委員を務める経済ジャーナリストの田宮寛之氏が、著書『ビジネスエリートが実践している 教養としての企業分析』(自由国民社)から、優良企業を見分けるための「企業分析」のポイントを解説します。

財テクに走らず本業重視

香川県に本社のある小野は1911年(明治44年)の創業で、関東・関西・中四国地区で大型手芸専門店「ドリーム」を101店展開しています。

 

第3代社長の小野耕一氏は「投資が成功しても失敗しても商売には良くない。土地や株で儲かると現在行っている商売が馬鹿らしくなる。損をしても痛手。また、気になって本業が手につかなくなる。投資に手を出して良いことは一つもない」と常々言っていたそうです。

 

小野はバブルに浮かれて財テクに手を出さなかったので、バブル崩壊の影響をほとんど受けませんでした。現在は4代目の兼資氏が社長を務めていますが、本業重視で実質借金ゼロの堅実経営です。

 

仙台市に本社を置く藤崎は1819年(文政2年)創業の老舗百貨店。バブル末期には売上高・営業利益が過去最高となりました。当時は利益を財テクに投入する企業が珍しくありませんでしたが、藤崎は利益を活かして赤字部門の整理に着手し、系列会社12社のうち8社を清算しました。

 

株や不動産投資にはいっさい手を出さなかったことで、バブル崩壊後も業績を大きく悪化させずにすみました。

 

住友家の家訓の中にある「確実を旨とし浮利に趨(はし)らず」とは投機的な経営を戒めた文章として有名ですが、住友家に限らず老舗企業が最も重視するのは本業。たとえ家訓になっていなくても、老舗企業には投機を許さない雰囲気があるようです。

 

ここまで紹介してきた企業は非上場企業ですが、上場企業の中で最古企業は松井建設です。

 

石川県で創業し、現在は東京都に本社を置いています。

 

創業は天正14年。「大正」ではなく、「天正」。戦国時代末期の1586年です。同社の有価証券報告書の沿革欄は「当社は、現会長16代の祖、角右衛門が天正14年前田利長公の命を受け、越中守山城の普請に従事し、……」という文章で始まります。

 

松井建設の創業者・角右衛門が前田利長に城の建設を命じられたのがきっかけで松井建設が生まれました。

 

前田利長とは、加賀藩(石川県)の始祖である利家の長男。利家は豊臣秀吉の盟友として有名な人物です。

 

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ビジネスエリートが実践している 教養としての企業分析

ビジネスエリートが実践している 教養としての企業分析

田宮 寛之

自由国民社

中小企業や名前の知られていない中堅企業にも良い会社はたくさんあります。 その見分け方をしり、転職などのキャリアに活かしたり、営業先の開拓をしたり、投資の参考にしたりすることで、明日の日本をつくる企業をしること…

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