(※写真はイメージです/PIXTA)

長らく足かせとなっていたコロナ禍も、そろそろ収束の兆しが見てきたことから、企業の活動も活発化している。それに伴い、かなりの人手不足なっているが、そんな状況でも声がかからず、取り残されているのが就職氷河期世代の、非正規の人たちだ。状況を見ていく。

新卒カードを生かせなかった、就職氷河期世代の男性

40代後半の、就職氷河期世代の男性は嘆く。

 

「大学生の時は本当に状況が厳しくて、たくさんの企業にアタックしたものの全滅でした。その後は正社員で働くことができず、アルバイトや契約社員の立場を行ったり来たりしながら、零細企業に就職したのですが、そこがひどくて…。仕事はつまらないし、こき使われるし、もうヘトヘトです」

 

男性の給料は、たった18万円だという。

 

日本のサラリーマン(正社員、平均年齢43.5歳)の平均月収(所定内給与額)は35.36万円、年収は579万円。40代後半の場合は月収39.59万円、年収は652万円。一方の非正規社員(平均年齢52.8歳)は、平均月収24.75万円、年収は353万円。同年代と月収15万円、年収で300万円程度の給与差がある(厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』)。

 

40代後半・非正規社員の月収の中央値は21.95万円。上位10%ラインは33.20万円、下位10%ラインは16.39万円だ。月収18万円は、非正規社員の下位20%に入る。

 

月収18万円の独身なら、手取り14万円ほどしか残らない。急激なインフレとなっている現在、これでは人間らしい生活は送れないのではないか。

国の政策と企業の本音に「大きな乖離」

2005年以降、雇用環境は改善したものの、既卒者には厳しい状況が続いた。なかでも、正社員としてキャリアを積めなかった人たちは悲惨だ。

 

コロナが収束の兆しを見せて様々な業界も回復基調となり、人手不足が叫ばれている。そんななか、企業が強く求めるのは、未来を担う若手と、途切れなくキャリアを積んできた経験者だ。非正規のまま年齢を重ねた氷河期世代は「スルー」されているのが現状だ。

 

東京都労働局『令和3年度 職業安定業務年報』で、年齢別の有効求人倍率(一般常用、および常用的パートタイム)をみると、2021年の場合、年齢全体では1.09倍。各年代は、40代後半が0.86倍。現役世代のなかでも、氷河期世代はお呼びでないということか。

 

【年齢別「有効求人倍率」(2021年)】

 

19歳以下:12.59倍

20代前半:2.16倍

20代後半:1.09倍

30代前半:1.18倍

30代後半:1.20倍

40代前半:1.09倍

40代後半:0.86倍

50代前半:0.80倍

50代後半:0.90倍

60代前半:0.71倍

 

出所:東京都労働局『令和3年度 職業安定業務年報』より

 

企業としては、たとえ人材不足だとしても、これまでキャリアを積んでこなかったアラフィフ、アラフォーの世代を採用し、一から教育する余裕はないのだろう。

 

政府は氷河期世代の就職支援をうたっても、企業側としては、「キャリアのない人材を育てる余裕はないし、正直遠慮してほしい」というのが本音なのかもしれない。

 

前出の40代後半の男性の現状について、自己責任論で片付けるのは簡単だ。また同様に、正規の立場で働きたくても働けない人たちを、努力不足として突き放しても、何の解決にもならない。

 

生まれたタイミングが悪すぎて、割を食ってしまっている就職氷河期世代。自己責任論で放置することなく、企業と政府が一丸となり、手を差し伸べることが必要なのではないか。

 

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