写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今回は高インフレ・高金利が続くなか、これらに最も影響を受ける不動産セクターを中心に、最新動向をみていきます。

フィリピン銀行業界…今後2年で2桁成長を予想

フィリピンの銀行業界は、世界的な金融不安、高インフレと世界経済のリセッション懸念の中、今後2年間で資産、ローン、預金、純利益が2桁の成長を遂げるという強気の予想をしています。

 

2022年上半期の中央銀行の調査・Banking Sector Outlook Survey(BSOS)の結果は、銀行業界のリーダーがその業務について前向きな成長見通しを維持していることを示しました。中央銀行は、世界的な金融引き締めとロシアとウクライナの間で進行中の地政学的緊張に続いて、世界経済の減速とコモディティ価格の上昇の中で、フィリピンの銀行システムの全体的な見通しは引き続き好調であるとしています。本調査の回答者には、すべてのユニバーサルバンク、コマーシャルバンク(U/KB)と貯蓄銀行の社長、最高経営責任者、カントリーマネージャー、80の地方銀行、協同組合、2つのデジタルバンクが含まれ、銀行業界の総資産の97%を占めています。

 

回答者は、向こう2年間の成長見通し、リスク評価、およびビジネス戦略についての質問に回答.調査対象の銀行の大多数は、今後2年間の銀行システムの安定した見通しを示しました。この楽観的な見方が、資産、ローン、預金、純利益の二桁成長への期待と結びついます。

 

銀行の約32.1%が、今後2年間で銀行セクターが強化されると予想しており、前回の調査の5.4%を大幅に上回っています。また向こう2年間で銀行システムが弱体化すると予測した回答銀行はありませんでした。ほとんどの銀行は、向こう2年間で、資産が10%から15%増加すると予想していますが、さらにデジタルバンクは20%以上の資産増加を予測しています。そして銀行の約78.9%が、今後2年間でローンポートフォリオが2桁成長すると予想しており、前回の調査の72.7%を上回っています。

 

本調査結果は、また、銀行が収益性についてより楽観的な見通しを持っていることを示しており、回答者の77.9%が純利益で2桁の成長を見込んでおり、前回の調査の74.4%を上回っています。経済の回復と信用活動の回復により、今後2年間でローンの質も向上すると予想され、2023年1月の時点で、銀行業界の不良債権比率は3.28%で、2022年1月の4.14%よりも低くなっています。調査対象の銀行の半数は、今後2年間で不良債権のカバー率が51%から100%以上になると予想しています。

 

銀行グループ別にみると、ユニバーサルバンクとコマーシャルバンクの不良債権比率の見通しは、前年の3%超から2~3%超の範囲内になり、不良債権カバー率が少なくとも75%から100%を超えと考えています。商品とサービスのデジタル化は、今後2年間の銀行の戦略的最優先事項であると認識されています。金融取引のデジタル化が進むにつれて、銀行はサイバーセキュリティに対するリスクが発生する可能性があることも認識しています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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