世界での活躍が見込める「スタートアップ企業」への投資が、海外を中心に注目を集めています。そうした投資を支える仕組みである「株式投資型クラウドファンディング」について、その特徴や独特なメリットを、実例も交えながらご紹介します。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
世界にはばたく未来のユニコーン企業を応援!英国・米国が牽引する海外「株式型クラウドファンディング」 (※写真はイメージです/PIXTA)

米国の代表的なプラットフォーム

米国

Wefunder

米国でのシェアNo.1とされ、2022年は、延べ140,386人の投資家から約224億円を集めました。企業のユーザーを巻き込みながら資金を集められるという側面から、株式型CFを「コミュニティラウンド」と提唱しており、専用サイト「communityround.com」で、株式型CFを通じた資金調達とコミュニティづくりに成功した企業を紹介しています。

 

StartEngine

投資家へのスタートアップ株式の売買ニーズに対応した「セカンダリー」向けプラットフォームも同時に展開しています。2022年に、同じく米国の株式型CFプラットフォームSeedInvestを買収しました。

 

Republic

Wefunder、StartEngineの2社と比べシェアは小さいですが、米国での株式型CFによる調達上限額6.5億円に達する大型の案件を成功させる例が多いです。2022年に、英国の株式型CFプラットフォームSeedrsを買収しました。

 

上記の他、近年では海外展開を視野に入れたプラットフォーム同士の提携や買収などが進んでおり、国をまたいだ株式型CFの展開も期待されています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

IPO、M&Aで投資家にリターンが実現。ユニコーンに成長する企業も

次に、株式型CFによる資金調達後、大きく成長したスタートアップ企業を紹介します。

 

英国

BrewDog

英国を代表するクラフトビールブランドです。2010年に英国の株式型CFプラットフォーム最大手とされるCrowdcubeで最初の調達に成功して以降、継続的に株式型CFを活用しています。株式型CFを実施する狙いは、熱狂的なファンを集め、世界中にBrewDogの仲間をつくることです。2017年にユニコーン企業の仲間入りを果たしました。

 

Mindful Chef

健康食ミールキットのスタートアップ企業です。2017年にCrowdcubeを通して個人投資家638人から約3億円を調達しました。2020年に食品世界最大手ネスレによるM&A(買収)によって、投資家は350%のリターンを得ることになりました。

 

Revolut

2015年の設立後、わずか3年でユニコーン企業となったデジタル銀行サービスです。創業2〜3年目のタイミングで、2度株式型CFでの資金調達を実施しました。2021年には、ソフトバンクグループ傘下のファンドなどから大型の調達を実現し、この時点で1度目の株式型CF利用時から660倍の時価総額となりました。

 

米国

Heliogen

マイクロソフトのビル・ゲイツが支援することで知られる再生可能エネルギースタートアップ企業です。2017年に英国のプラットフォームSeedInvestを通じて約2億円を調達しました。調達前評価額は約26億円でしたが、2021年に2,600億円の評価額で上場しました。米国で初めて、個人投資家が支援したユニコーン企業のイグジット事例となりました。

 

これらは一例ですが、英国・米国では多くのスタートアップ企業が株式型CFでの資金調達後にユニコーン企業に成長したり、IPOやM&Aを果たしたりしています。イグジットによる値上がり益で、個人投資家も多くのリターンを得る事例が見られます。