(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書は、相続人の1人に全財産を相続させる内容で作成することが可能です。しかし、このようなケースでの遺言書作成には注意が必要と、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。本記事では50代で亡くなったAさんの事例とともに、1人の相続人にすべての財産を相続させる際の遺言書作成のポイントを解説します。

「1人だけ」に相続させたい場合は「遺留分」に注意

このように、すべての遺産を1人に相続させたい理由にはさまざまなものがあります。遺言書で誰にどれだけの遺産を渡すのかは遺言者の自由ですので、「1人の相続人にすべての遺産を相続させる」という内容の遺言書を作成すること自体は可能です。

 

ただし、注意しなければならないのが「遺留分」です。遺留分とは、亡くなった被相続人の配偶者や子など一定の相続人に保証された、相続時の最低限の取り分のことを指します。

 

1人に全財産を相続させるとの遺言書を作成した結果、ほかの相続人の遺留分を侵害する事態となれば、相続人同士でトラブルに発展する可能性も考えられます。

 

「遺言書の内容が法的に有効かどうか」ということと、「その遺言書がトラブルの種にならないかどうか」は別問題なのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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遺留分のある相続人・ない相続人

遺留分は、すべての相続人にあるわけではありません。遺留分がある相続人は、被相続人の配偶者、子や孫などの直系卑属、両親や祖父母などの直系尊属です。

 

被相続人の兄弟姉妹や甥姪は、たとえ相続人であっても遺留分はありません。

 

遺留分割合

相続財産に対する遺留分の割合は、誰が相続人となるかによって異なりますが、基本的に、2分の1に各自の法定相続分を乗じた割合が、個々の遺留分となります。

※ 相続人の親や祖父母などの直系尊属のみが相続人である場合には3分の1となります。

 

例として、配偶者、長男、二男の3人が相続人である場合、それぞれの遺留分割合は次のとおりです。

 

・配偶者:2分の1(遺留分割合)×2分の1(法定相続分)=4分の1

・長男:2分の1(遺留分割合)×4分の1(法定相続分)=8分の1

・二男:2分の1(遺留分割合)×4分の1(法定相続分)=8分の1

 

遺留分を侵害すると「遺留分減殺請求」をされる可能性

先に説明したとおり、遺留分を侵害しているからといって、遺言書が無効になるわけではありません。

 

たとえば、相続人が長男と二男の2名であるにも関わらず「長男に全財産を相続させる」旨の有効な遺言書があった場合には、実際に長男が全財産を相続することになります。ただし、この場合、二男から長男に対して「遺留分侵害額請求」がなされる可能性があります。

 

遺留分侵害額請求とは、遺産を多く受け取った相手に対して、侵害された遺留分相当の金銭を支払うよう請求することです。遺留分侵害額請求がなされたら、長男は二男に対して、侵害した遺留分相当額の金銭を支払わなければなりません。

 

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