(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書は、相続人の1人に全財産を相続させる内容で作成することが可能です。しかし、このようなケースでの遺言書作成には注意が必要と、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。本記事では50代で亡くなったAさんの事例とともに、1人の相続人にすべての財産を相続させる際の遺言書作成のポイントを解説します。

被相続人が「1人に全財産を相続させたい」ワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)
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そもそも、すべての財産を特定の1人に相続させたいと考えるにはさまざまな理由が考えられます。例として、以下のようなものが挙げられます。

 

1.ほかの相続人と疎遠だから

ほかの相続人と疎遠であったり折り合いが悪かったりすると、1人に全財産を相続させたいと考える場合があります。

 

冒頭の事例のように、子がおらず財産はすべて配偶者に残したいというケースのほか、長女一家が近くに住みなにかと世話をしてくれる一方で、二女はほとんど家に寄りつかないようなケースでは、長女に全財産を相続させたいと考えることがありえるでしょう。

 

2.ほかの相続人には十分な金銭援助をしたから

一部の相続人に十分な資金援助をしてきたことを理由に、ほかの相続人に遺産を単独相続させたいと考える場合もあります。たとえば、相続人である長男と二男のうち、二男だけに海外留学の費用や家を建てる際の費用を贈与していれば、長男だけに財産を残したいと考えることはありえます。

 

3.事業を後継者に継がせたいなどの事情があるから

事業承継を目的に、遺産を1人に単独相続させたいと考えることもあるでしょう。事業承継を円滑に行うには、事業用の資産や自社株式を、後継者となる特定の相続人に集中させる必要があります。

 

事業に関連しない資産がほとんどないという場合には、ほかの相続人に財産を残す余地がなく、後継者に遺産を集中せざるを得ないでしょう。

 

4.「家督相続」的な考えを持っているから

昭和22年に民法が改正される以前は、家を継ぐ長男などが遺産を単独相続する「家督相続」が原則とされていました。

 

現在の民法では、「家を継ぐ」という法的概念自体が存在せず、長男であるかどうかといったことなどで相続権に違いはありません。しかし、比較的伝統を重んじる家などでは、未だに家督相続的な考えを持つケースがあり、「家を継ぐ長男に全財産を相続させたい」などと考える場合があります。

 

5.相続税の負担が小さくなるから

相続税には、さまざまな特例が存在します。この特例を最大限活用するために、1人の相続人に遺産を単独相続させる場合があります。

 

たとえば、「配偶者の税額軽減」を活用すれば、配偶者が受け取った遺産のうち1億6,000万円か配偶者の法定相続分のいずれか大きい額までは、相続税がかかりません。つまり、そもそも遺産総額が1億6,000万円以下なのであれば、配偶者がすべて相続することで相続税をゼロにすることが可能なのです(ただし、この場合にはその後配偶者が亡くなった際にかかる相続税も試算し、トータルでかかる相続税を踏まえて遺産の配分を検討する必要があるでしょう)。

 

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