(写真はイメージです/PIXTA)

東京五輪に続く大規模イベントとして注目が集まる、大阪・関西万博。そもそも、万博とはなんなのでしょうか。ニッセイ基礎研究所の小原一隆氏が解説します。

3―選考プロセスについて

選考プロセスは数年にわたり、7段階に及ぶ(図表3)。 BIE資料で示される手順と、大阪・関西万博の際のプロセスを対比した。万博の終了後においてもBIEが関与することが特徴的である。

 

【図表3】
【図表3】

4―開催・参加の利点は何なのか

BIEは万博に関係する者の利点として次のように説明する。

 

開催国にとっては、世界に対し自国の成果をアピールしたり、経済発展・協力、自国文化の豊かさや近代文明への貢献を訴求できるまたとない場である。また、開催都市や国の、質的にも量的にも経済発展に繋がる。雇用の拡大や大規模なインフラ整備、国際交流の活発化に加え、都市や国のブランディング、近代化や効率化、文化・科学の発展といった面でも社会に好影響を与えることができる。

 

参加国や企業は、大衆に向けて、自国の景観や歴史的遺産、科学や技術革新、未来へのビジョン等を示し、グローバルな課題に関する交流の場を持つことができる。

 

来場者の大多数は開催国居住者であり、来場者は世界中の文化や革新的な技術に触れたり、国際社会を受け入れる自国の能力を確認することができる。また知識や発見に飢えていることが多く、その渇望を満たすことができる。

 

大阪・関西万博では、万博は人・モノを呼び寄せる求心力と発信力があることから、大阪・関西および日本の成長を持続させる起爆剤にすることを開催目的とおいている。

 

また、万博を未来社会の実験場と位置づけ、展示を見るだけでなく、人類がアイデアを共創する場としている。更には、事前に世界中の課題や解決策を共有し、先端技術など世界の英知を集め新たなアイデアを創造・発信することを標榜しており、これらを通じ、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献や、日本の国家戦略であるSociety5.0*16の実現を目指している。

 

この理念や目的にふさわしいコンテンツを提供し、来場者を感動させることができれば、より多くの来場者が万博に足を運ぶことになり、成功に近づくことであろう。そのためには、残り2年間の準備が重要であることは論を待たない。既に万博協会を中心に、PR活動を展開しているが、国民一般の万博への注目はこれからである。多くの国民が、関西ローカルのイベントではなく、国家プロジェクトであることを認識し、共感を呼べるよう、あらゆる形態で関与する企業等も含めて、抜かりなく準備をしていくことを期待する。

 

*16:サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題を両立する人間中心の社会。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会。新たな技術により様々な地球規模の課題が解決される社会はSDGsが達成された社会でもある(万博協会)

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月24日に公開したレポートを転載したものです。

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