過去にあった「金融機関の経営破綻→利下げ」の流れ
金融機関の突然の経営破綻をきっかけにFRBが金融緩和へ急転換に向かった例として、1998年のケースがありました。大手ヘッジファンド危機を受けて、NYダウが約2割もの暴落となるなかで、FRBは3ヵ月連続利下げに動いたのです(図表7参照)。
これによって金融危機を終息させることには成功しましたが、一方でその後1999年にかけて後からITバブルの株高と呼ばれた動きが広がったこともあり、この1998年のFRBの金融緩和への急転換は「バブル」を発生させた一因といった批判も上がりました。
当時と異なり、現在の米国ではインフレという問題が続いています。その意味では、金融システム不安がくすぶるなかでも、金融緩和への転換には1998年以上に慎重になる可能性が高いのではないでしょうか。これは、金利市場が早期の大幅利下げを織り込む動きとなっていることと大いなる矛盾と言えるでしょう。
以上からすると、「米金利低下=米ドル安」の動きには自ずと限界があると考えられます。
それを踏まえた上での今週の米ドル/円の予想レンジは128~134円中心で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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