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晩婚化が進む昨今。会社員A氏も例に漏れず、39歳で結婚、42歳で第1子が誕生した翌年、43歳でマイホームを購入しました。平均以上の年収をもらい、現役時代は順風満帆な生活を送っていたはずのA氏でしたが、ふと気がつくと「夫婦の老後資金が足りない!」と大ピンチに陥っていました。A氏にいったいなにがあったのでしょうか。FP Office株式会社の草間栄治FPが解説します。 

「安心の老後生活」は早めの資産形成で実現可能

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人生100年時代、経済的にゆとりある「安心の老後生活」は、早くから資産形成に取り組むことで十分に実現可能である。 

 

初心者でも取り組みやすい資産形成の手段として代表的なものは、「投資信託」と「貯蓄型保険」だ。 

 

「投資信託」とは、多くの投資家から集めた資金をひとつの基金(ファンド)にまとめ、専門家が複数の株式や債券、不動産等で運用し、そこで得られた収益を分配金として投資家に還元する仕組みである。 

 

個人で株式の売買などをする必要がなく、資産形成を始めるにあたってのハードルが高くない。また、資産、企業、通貨などに広く分散されているため、個別株に比べリスクが小さいのが特徴だ。 

 

「貯蓄型保険」とは、支払った保険料(掛金)が運用され、最終的に「満期金」や「解約返戻金」としてお金が戻ってくる保険のことをいう。一般的に保険機能が付帯されている分、上述した投資信託に比べると運用パフォーマンスが悪くなるケースがある。 

 

しかし、保険機能の活用を前提とすれば、資産形成手段のひとつとして有効である。 

 

多くみられるのは、がん・心疾患・脳血管疾患という三大疾病(各社条件あり)にかかった際に、それ以後の保険料の支払い(積立)は契約している保険会社が行ってくれるというものだ。また、貯蓄型保険は制度上、投資信託に比べると解約がしづらいため、浪費家の方にとっていい意味で“強制的な貯蓄”ができる仕組みになっているといえる。 

 

また、国が推奨している制度として、「NISA」や「iDeCo」がある。 

 

「NISA」は現在「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」の3種類あり、これら最大の特徴は「投資額に対するリターン(売却益、配当金、分配金)が非課税である」ということだ※5。 

 

「iDeCo」は私的年金制度のことであり、NISA同様、運用期間中は非課税での運用が可能だ。そのうえ、毎年の掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になるため、所得税、住民税の節税になる。 

 

ただし、原則60歳まで引き出し不可であることと、老後受け取る際、一時金の場合は「退職所得」として、年金の場合は「雑所得」として扱われるため課税される場合があることに注意が必要だ。 

 

今回紹介したいずれの資産形成方法も、低金利が続く銀行預金に比べるといい選択肢であるといえる。バランスよく取り入れ、早めに「安心の老後生活」の準備を始めることをおすすめする。 

 

【参照・注釈】 

※1 生命保険文化センター「大学生にかかる教育費はどれくらい?」 

https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/771.html 

 

※2 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/gaikyouR2.pdf 

 

※3 国土交通省令和3年度住宅市場動向調査報告書 

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf 

 

※4 国税庁令和3年分民間給与実態統計調査 

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/tokei.html 

 

※5 特定口座の場合、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%が利益に課税される。

 

 

草間 栄治(FP Office株式会社・ファイナンシャルプランナー)

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。