(※画像はイメージです/PIXTA)

晩婚化が進む昨今。会社員A氏も例に漏れず、39歳で結婚、42歳で第1子が誕生した翌年、43歳でマイホームを購入しました。平均以上の年収をもらい、現役時代は順風満帆な生活を送っていたはずのA氏でしたが、ふと気がつくと「夫婦の老後資金が足りない!」と大ピンチに陥っていました。A氏にいったいなにがあったのでしょうか。FP Office株式会社の草間栄治FPが解説します。 

A氏が老後破産の危機に陥った「4つの原因」 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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まず、根本的な原因は、老後までの長い視点をもったライフプランを立てていなかったことにある。A氏のような人生の場合、単身時、結婚時、出生時、住宅購入時、老後とライフイベントごとに必要になる資金はしっかりあるため、目的・ゴールを設定して計画的な資産形成をする必要があった。 

 

例えば、子どもが小さいうちは養育費が少ないため、自由に使うことのできるお金が多くなる。しかし、足元の収支だけを考え、「自由に使えるから」と必要以上に支出に回していれば、養育費が大きくなる時期に家計が圧迫され、貯蓄をすることが困難になっていく。 

 

こういった状況を防ぐためには「いつまでに、いくら貯める必要があるのか」を事前に把握し、計画的に資産形成することが重要である。 

 

また、その他の原因を詳しく分析すると、 

 

1.単身時代に貯蓄が少なく、生活費が多い傾向にある 

2.住宅ローン返済原資に退職金を充当することを初めから想定していた 

3.資産運用に手をつけなかった 


という3点が挙げられる。 

 

まず、単身世帯では早婚・早期出生をした方に比べると、自分自身のための支出が多くなりがちである。 

 

結果として、40代で結婚・出生となった場合は20代で結婚・出生した場合と比較すると「10~20年」遅れて将来に向けた資産形成を始めるケースが多い。この課題を解決するためには、単身時代から将来のライフイベントを見通した資産形成を始めることが有効である。 

 

次に、A氏は住宅ローンを組む際に「借りることのできる金額」と「返すことのできる金額」を把握していなかったことに老後破産危機の原因がある。 

 

A氏は、退職金の充当を含めた返済プランでローンを組んでいた。つまり、「人生100年時代」において、100歳まで資産を保持することを前提とした金額での借り入れができていなかったのである。 

 

A氏の場合、「返すことのできる金額」で借り入れを行っていれば、月々・年間のローン返済額は現在よりも小さくなり、本来返済していた金額との差額を資産形成に回すことができていたかもしれない。 

 

また、A氏は「お金に働いてもらう」ことをしなかった・わからなかったことにも問題がある。 

 

例えば、30歳から60歳までの30年間、月々5万円を積立投資にあてたとする。年平均5%のリターンで運用できたと仮定すると、積立総額(元本)1,800万円に対し、運用総額(元本+利益)は約3,986万円(税金・手数料は考慮しない)となる。差額は2,186万円にのぼる。 

 

A氏が仮に30歳から積立投資を行っていた場合、60歳から支払いが始まる子どもの大学費用約978.4万円(私立文系・下宿)をこの運用益のみで支払うことができた。 

 

このように、ライフイベントごとに発生する費用を把握し、事前にライフプランを作成して計画的な資産形成を始めなければ、A氏のように将来的に老後破産に陥ることは誰しも十分にあり得る話である。 

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。