(※画像はイメージです/PIXTA)

晩婚化が進む昨今。会社員A氏も例に漏れず、39歳で結婚、42歳で第1子が誕生した翌年、43歳でマイホームを購入しました。平均以上の年収をもらい、現役時代は順風満帆な生活を送っていたはずのA氏でしたが、ふと気がつくと「夫婦の老後資金が足りない!」と大ピンチに陥っていました。A氏にいったいなにがあったのでしょうか。FP Office株式会社の草間栄治FPが解説します。 

晩婚だったが子供にも恵まれ…順風満帆だったA氏

(※画像はイメージです/PIXTA)
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晩婚化が進む昨今、30代後半で結婚し、40代で出産・住宅購入といったケースは珍しくない。今回は、39歳の会社員A氏の事例をもとに、そんな晩婚世帯の「老後破産の危機」についてみていこう。 

 

A氏は仕事に打ち込んでいる期間が長く、39歳で3歳年下の妻(年収300万円)と結婚。その後、42歳で待望の第1子が誕生し、それをきっかけに翌年43歳でマイホームを購入した(借入5,000万円・変動金利0.575%・35年ローン)。収入面は、若手時代の努力のかいあって平均よりも高く(年収900万円)、公私ともに順風満帆な生活を送っていた。 

 

そんなA氏だったが、稼ぎが多いことから資産運用などは特段せず、将来に向けた資金準備といえば銀行預金の貯蓄のみであった。資産運用自体に興味はあったものの、若手時代は仕事一筋、家族ができてからはそれに加え育児と忙しく、お金のことを学ぶ余裕などなかった。 

 

結果として、「自分が稼げばいい」と資産運用などを始めずにいたのだった。実際に、子どもの教育費は高校まで公立であったため、貯金をしながらA氏の収入のみで生活することができていた。 

 

そして202X年3月末日、60歳になったA氏は定年退職を迎え、退職金1,400万円を受け取った。ここから、A氏のゆとりある老後生活がスタートするはずだった。 

 

しかし、現実はどうだろうか。約2,500万円の住宅ローン残債に加え、子どもの大学進学を間近に控え、約978.4万円の教育費※1が待ち受けている。そのためA氏と妻はそれぞれ、61歳~65歳までの間、再雇用で働き続けることを決断した。 

 

現在のA氏の資産は、退職金1,400万円と銀行預金3,100万円の合計4,500万円である。一見、多くの資産を築いてきたように思えるが、すでに述べたとおり、住宅ローンの返済と子どもの大学費用で合計約3,500万円を取り崩す予定だ。つまり、老後の生活資金は1,000万円しか残らず、このままでは老後破産に陥ってしまう危険性がある。 

A氏の事例は決して「特殊なケース」ではない

(※画像はイメージです/PIXTA)
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実は、A氏の事例は決して特殊なケースではない。 

 

厚生労働省の調査※2によると、令和2年(2020年)時点の平均初婚年齢は男性31.0歳、女性29.4歳となっている。これは令和元年と比較すると男女ともに0.2歳若くなっているものの、平成7年(1995年)のデータをみると男性28.5歳、女性26.3歳と23年間で2~3歳、平均初婚年齢が遅くなっていることがわかる。 

 

また、晩婚化に伴い、「晩産化」も進んでいる。同資料の第1子出生時の母親の平均年齢をみると、平成7年は27.5歳、令和2年は30.7歳と3.2歳高くなっている。 

 

続いて、マイホーム購入時の年齢をみていこう。国土交通省の令和3年度調査報告書※3によると、住宅種別ごとの平均年齢は40代前後に集中している。それぞれの平均年齢は、 以下のようになっている。

 

・注文住宅:44歳 
・分譲戸建住宅:38.4歳 
・分譲マンション:44.3歳 
・中古戸建住宅:46.9歳 
・中古マンション:46.4歳 


最後に、平均収入についてみていく。国税庁の調査※4によると、令和3年における日本人の平均年収は443万円であることがわかる(男性に限ると平均年収は545万円となっている)。 

 

改めてA氏の置かれた状況を確認すると、39歳で結婚、42歳で子どもの誕生と婚姻・出生については平均より遅いものの、住宅購入時期は平均的であり、年収に関しては平均の約2倍であった。 

 

では、いったいなぜ、A氏は定年間近になって老後破産の危機に陥ってしまったのだろうか。 

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。