(※写真はイメージです/PIXTA)

問題になっている「名義貸し」「名ばかり産業医」の増加です。産業医がやっていることといえば、1年に1回、定期健康診断の判定をして、必要書類に判子を押しているだけだったりします。産業医の富田崇由氏がコストゼロからできる健康経営について解説します。

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近年急増する「名義貸し」「名ばかり産業医」

■専門家と一緒に健康づくりをするなら、産業医の選任を

 

従業員50人未満の小さな職場は産業医の選任が義務付けられていません。しかし、社内の人員だけで健康づくりを継続的・計画的に行っていくのが難しい、専門家と相談をしながら一緒に健康づくりをしていきたいというときは50人未満の職場でも産業医を選任することが解決の早道です。

 

産業医には二つの活動スタイルがあります。大企業に雇用されて職場に常駐して活動する「専属産業医」と、会社と契約をして衛生委員会や職場巡視など必要に応じて職場を訪問して活動する「嘱託産業医」です。小さな会社では後者の嘱託産業医と契約をすることになります。

 

そして嘱託産業医も大きく二つのパターンがあります。一つは、クリニック・診療所の開業医や病院に勤務する勤務医が地域の企業と契約し、臨床のかたわら産業医として活動するパターンです。

 

もう一つは産業医事務所を開設するなどして、産業医としての活動を専門的に行うパターンです。産業医を専門とする場合は、医師一人あたり20~30社と契約をしているケースもありますし、産業保健師や産業看護師とチームで活動しているところもあります。

 

私自身は産業医事務所の代表を務めながら訪問診療も行っているので、いわば二つを兼ねているかたちですが、一般論でいえば、職場の健康づくりや産業保健についての知識・実績は、産業医を専門とする医師のほうが豊富です。

 

もちろん勤務医や開業医で産業医の活動をしている医師でも、働く人の生活習慣病や健康障害の予防に熱心な先生はたくさんいます。ただ嘱託産業医の場合、医師によってまだ産業保健の意識や経験に差があるのも事実です。

 

新たに産業医を選任しようというときは、自分たちの職場の健康づくりに何をしてもらえるか、どういう活動にどのように関わってもらえるのかをよく確認したうえで、選ぶ必要があります。

 

■「名ばかりの産業医」では、会社も医師も損をしている

 

近年、産業保健の世界で問題視されているのが嘱託産業医の「名義貸し」、「名ばかり産業医」の存在です。これは、労働基準監督署対策や健康経営のアピールのために会社で産業医を選任・契約しているものの、産業医としての活動がほとんど行われていないような状況を指します。

 

契約している産業医がやっていることといえば、1年に1回、定期健康診断の判定をして、必要書類に判子を押しているだけだったりします。また衛生委員会や職場巡視をしているといっても名ばかりで、定期的に産業医が会社に来てただお茶を飲んで帰るという場合もあります。

 

こういう名ばかりの産業医選任は会社にとっても産業医として活動する医師にとっても損なだけでいいことは何もありません。仮に名義だけであっても、嘱託産業医を選任して契約すれば月あたり3~6万円くらいの費用は掛かります。それだけ費用を掛けていながら年に何度か判子をもらうだけというのは、いくら健康経営やコンプライアンスのためといっても、もったいない話です。

 

さらに経営者の考え方によっては、余計な産業医面談などをしてコストを増やしたくないからと、産業医が職場に深く関わるのを嫌がる人もいます。社員の側にしても、産業医に体調について率直に相談して経営者や上層部に自分の心身の健康状態が伝わり、昇進や雇用継続に支障が出るのは嫌だと考えてしまう人も少なくないようです(実際には、本人の承諾がなければ個人の情報を会社に漏らすことはありません)。

 

これは産業医である医師にとっても悲しむべきことです。産業医のなかにも、名前を貸すだけでほとんど何もしなくても月に何万円か小遣いが入ってラク、と考える人もいるかもしれません。しかし多くの医師はせっかく会社に関わるのであれば、職場が健康になってほしい、労働者が病気やけがを予防していきいきと働ける作業環境創出に貢献したい、と考えるはずです。

 

名ばかり産業医では医師としてのやりがいや有用感を得られず、たまに職場に行っても経営者にも社員にも煙たがられ産業医の業務にいつまでも自信をもてないことになってしまいます。

 

次ページ「健康な職場づくり」はどうすればいいか

※本連載は、富田崇由氏の著書『コストゼロで作る小さな会社の健康な職場』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

コストゼロでつくる小さな会社の健康な職場

コストゼロでつくる小さな会社の健康な職場

富田 崇由

幻冬舎メディアコンサルティング

働く人の健康問題に注目が集まっていますが、組織として健康増進に取り組んでいる企業は多くありません。 「健康経営」や「従業員の健康づくり」は必ずしも産業医がいなければできないものではなく、小さな会社でもコストを掛…

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