(※写真はイメージです/PIXTA)

会社と社員の関係は良好であるに越したことはありません。トラブルが起こった時、会社側がどんな対応をするか…。それは、日頃の行いが良ければ比例して良くなるものだからです。もしも、会社から不当な扱いを受けた場合、どのように対処するのが賢明なのでしょうか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、退職時のトラブル対応について、南宜孝弁護士に解説していただきました。

「5割」の負担割合は適切か?

(※写真はイメージです/PIXTA)
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会社は、元従業員と会社の負担割合を5割と主張しています。

 

しかし、会社の主張する負担割合が大き過ぎる可能性があります。従業員は、自らの過失によって、会社が所有する車両等を損傷させたのであれば、会社に対して、事故によって生じた損害を賠償する責任を負います。

 

ですが、事故が会社の業務を行なっている最中に生じたものであれば、従業員は発生した損害の全てを負担する必要はありません。

 

なぜなら、会社は、従業員を通じて利益を受けているにも関わらず、従業員の活動を通じて損害が発生した場合に限っては、その損害を一切負担しないというのは、あまりにも不公平だからです。

 

そこで、会社は、以下の要素を踏まえて信義則上相当といえる限度で損害賠償できるとされています。

 

・事業の性格、規模

 

・施設の状況

 

・従業員の業務の内容

 

・労働条件

 

・勤務態度

 

・加害行為の態様

 

・加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度

 

そこで、会社の主張する割合が適切か否かを検討するにあたっては、どのような態様による事故であったのか、従業員の就労状況、事故を予防するための予防策を講じていたか、自動車保険の加入状況といった事情を十分に確認する必要があるでしょう。

 

例えば、従業員の就労状況として、長時間の勤務が続いており、肉体的精神的に疲弊している状況であったにもかかわらず、会社が従業員の労務管理を適切に講じず放置したのであれば、従業員の責任は小さくなるでしょう。

 

また、従業員の過失の程度が軽く、会社がリスク回避のための対策を何ら講じていないような場合も、従業員の責任は小さくなるでしょう。

 

選択するプロセス

労働基準監督署は、企業が、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法等の労働関係法令を遵守しているかをチェックし、違反している企業に対して指導等を行う機関です。

 

今回の問題は、会社から元従業員に対する不法行為に基づく損害賠償請求の問題で、労働関係法令が直接関係している事案ではありません。

 

そのため、元従業員から会社に対して、時間外等割増賃金やその他の賃金の請求をすることもないのであれば、労基署ではなく、民事訴訟や民事調停を通じて解決するべき問題といえます。

 

会社からの請求が適切な内容であるか、慎重に検討することが重要です。会社からの請求に対して、慌てて対応する必要はありません。

 

まずはお近くの弁護士に相談することを推奨します。

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